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2017年1月6日(金)

厚労省 療養14万床廃止・転換

サービス縮小・負担増の危険

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 厚生労働省は医療費削減を狙って、高齢者らが長期入院する「療養病床」のうち約14万床を廃止し、患者を安上がりの新たな介護施設か在宅などに追いやろうとしています。入院している高齢者らはどうなるのか―。

 廃止対象は「介護型」約6・1万床と、軽症患者向けの「医療型」約7・6万床です。

 厚労省は、患者の受け入れ施設として、(1)医師・看護師が常駐する「医療内包型」(2)居住スペースと医療機関が併設する「医療外付け型」―の2種類を提示。医療内包型施設について、重症者向け(患者48人に医師1人)と、より軽症者向け(患者100人に医師1人)を示していますが、人員・施設基準や介護報酬、転換支援策については、介護給付費分科会でこれから議論する予定です。「医療型」療養病床についても、中央社会保険医療協議会でこれから詳細を検討します。

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 廃止時期は2018年3月末の予定を見直すものの、3年ないし6年先にするとして決まっていません。医療関係者からは「人員基準や報酬も決まらないと、転換できるのか決められない。3年では短い。6年は必要だ」との声が社会保障審議会で出されています。

 厚労省の方針では、「利用者を引き続き受け止めることができるようにする」とした一方、「効率的なサービス提供」を明記。医療内包型では人員配置基準の緩和も示しています。しかし、現在、「介護型」利用者の約6割は脳卒中を患い、全体の65%が「入院・入所による医療が必要」です(15年度厚労省調査)。中重度の患者が在宅に追いやられる危険性を抱えています。

 しかも、新施設は「生活施設」の機能を備えるといいながら、利用者1人あたりの床面積は老人保健施設と同じ8平方メートル。大都市部での大規模改修までの間は同6・4平方メートルを可能としています。

 医療内包型では、介護施設と同様に低所得者への食費・居住費補助(補足給付)を行うとしていますが、一定の預貯金などがある人には15年から支給されなくなっています。医療外付け型は既存の介護付き有料老人ホームを想定しており、補足給付の対象外です。

 医療関係者からは、「新施設での医療サービスの縮小や負担増を許さない」との声があがっています。

 療養病床が多いとして厚労省がやり玉にあげる高知県を見ても、中山間地が多く通院・通所が困難だと指摘されています。療養病床が、医療的ケアが必要な高齢者の重要な受け皿になっているのが実態です。

 ところが厚労省は、日本医師会などが求めてきた「現行制度の再延長を第一選択肢」にすることには背を向け続けており、廃止に固執する姿勢が問われています。


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