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2016年12月30日(金)

主張

防衛大臣靖国参拝

「戦争する国」への危険な暴挙

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 稲田朋美防衛大臣が東京・九段の靖国神社を参拝しました。靖国神社はアジア・太平洋戦争の「A級戦犯」を含む戦死者をまつり、過去の侵略戦争を肯定・美化する異常な戦争神社です。その神社に、安倍内閣の軍事政策を担当し、自衛隊を指揮監督する防衛大臣が参拝したのは重大です。安倍政権が戦争法のもとで「戦争する国」づくりに暴走する中、それをいっそう推進することにもなる危険な動きです。

侵略戦争肯定に身を置く

 稲田氏が8月に防衛相に就任した後、靖国神社に参拝したのは今回が初めてです。戦争神社である靖国神社への参拝は、自ら侵略戦争を肯定・美化する立場に身を置くことです。稲田氏は防衛相就任以前からたびたび靖国神社に参拝しており、今年の「終戦記念日」には海外出張のため参拝できなかったことを深く悔いていたともいわれます。「防衛大臣 稲田朋美」と記帳した今回の参拝は、防衛相としての年内参拝に固執する異常な立場を浮き立たせています。

 安倍内閣では、首相自身が政権に復帰した翌年に靖国神社に参拝、その後も例大祭などで「真榊(まさかき)」等供物の奉納を繰り返し、閣僚などの参拝も相次いできました。稲田氏の参拝の前日には今村雅弘復興相も参拝しています。首相や閣僚のこうした行為を、日本の侵略戦争の犠牲になった中国や韓国などアジアの国々が強く批判してきたのは当然です。アメリカにさえ首相の靖国参拝に「失望した」といわれたほどです。現職の防衛相である稲田氏の参拝は、安倍政権の歴史逆行の姿勢を改めて示した点でも極めて重大です。

 稲田氏は靖国神社参拝の前日まで、安倍首相や岸田文雄外相とともに、75年前日本の奇襲によって日米戦争の発端となったハワイを訪問し、日米の「和解」を訴える首相の演説を間近に聞いたはずです。安倍首相の演説は「不戦の誓い」といいながら過去の侵略戦争への反省を欠いたものでしたが、首相の言葉の舌の根も乾かぬうちに稲田氏が靖国神社へ参拝したのは、戦争責任を消し去ってしまいたい安倍政権の本音を浮き彫りにしています。

 防衛相として稲田氏は、戦争法を強行した安倍政権のもとで、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派遣した自衛隊に「駆け付け警護」の任務を付与するなど、戦争法の本格的運用を突き進んできました。防衛相として初めて手掛けた2018年度の軍事予算案編成では、史上最高の5兆円を超す予算でオスプレイ導入などの軍拡を推進しています。稲田氏の靖国神社参拝は、「戦争する国」を目指す安倍政権の危険な動きと軌を一にしたものです。

再び「戦死者」を出す国に

 安倍政権が強行した戦争法は、自衛隊が発足以来初めて海外で武力を行使し、他国の軍隊や国民との間で、「殺し殺される」関係を生み出すものです。靖国神社を参拝した稲田氏は、そうして殺された自衛隊員も、いずれ靖国神社にまつるとでもいうのか。

 稲田氏の靖国神社参拝に対し、韓国など海外からは即座に厳しい批判の声が上がっています。安倍首相は「ノーコメント」としかいっていませんが、安倍政権と、首相が任命した稲田氏の責任は、絶対に免れません。


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