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2016年12月23日(金)

社会保障5年で3.4兆円削減

政府予算案

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 安倍晋三政権が22日閣議決定した2017年度政府予算案と「税制改正」大綱は、国民を苦しめ大企業に恩恵を与えるものです。その特徴は―。

 (清水渡、杉本恒如)


軍事費・公共事業… 歳出膨張に潜む危うさ

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 17年度予算案の一般会計総額は97兆4547億円と16年度当初予算を7329億円上回りました、当初予算として過去最大です。目立つのは軍事費や公共事業の増額です。

 軍事費は5兆1251億円で16年度当初予算と比べ710億円も増額し、過去最大を更新しました。沖縄県名護市の浅瀬に墜落したオスプレイ4機の購入費391億円などが含まれます。

 歳出の膨張は、歳入の危うさに支えられたものです。17年度の新規国債発行額は16年度比622億円減の34兆3698億円としました。税収は16年度当初予算に比べ1080億円増の57兆7120億円と見込みます。

 しかし、17年度の税収計画は、足元の株高や円安にもとづいたものです。実際、16年度は、円高などにより法人税を中心に税収が減少し、22日に閣議決定された16年度3次補正予算案では1兆7512億円の赤字国債を追加発行しています。

 また、税外収入を5兆3729億円と16年度に比べ6871億円も増額しています。そのうち、2兆5188億円は外国為替資金特別会計の運用益の一部を歳入に繰り入れます。運用益は円安が主な要因です。さらに国債費の歳出減も財源とされます。これは、低金利の結果です。円安や低金利に支えられる危うさがあります。

機械的な切り捨て 高齢者標的 若者も不安

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 17年度予算案で安倍政権が削減の標的にしたのは、高齢化などで当然に増える社会保障費(自然増分)です。

 概算要求で6400億円だった自然増分を削り、4997億円に抑えました。年平均5000億円への自然増圧縮という「骨太方針2015」(15年6月に閣議決定)に沿った「削減額ありき」の機械的な切り捨てです。

 経団連の榊原定征会長は「社会保障関係費の伸びを5000億円程度に抑制することができたのは大きな進歩」(19日)と、削減規模を“評価”しました。

 主な中身は、病気になりがちな高齢者を狙い撃ちした医療・介護の負担の増大です。18年度にさらに負担を増やす方針を示しました。老後の医療・介護負担の増加は、若者の将来不安や家族介護の負担を増幅させます。

 安倍政権による社会保障費の自然増削減額は5年間で1兆4600億円にのぼります(表)。さらに別枠で、法改悪などに基づく削減が行われています。これらは、概算要求の段階で反映され、社会保障費を圧縮します。額が判明するものだけでも5年間で1兆9918億円にのぼります。

 両者を合わせた社会保障費の削減額は、5年間で3兆4500億円以上に達します。さらに、介護保険の要支援者向けサービスを保険給付から外すなど、削減額の不明な制度改悪も行ってきました。

 17年度以降も、▽介護保険への3割負担導入(17年通常国会に法案を提出し18年8月に実施の計画)▽要介護1〜2向け生活援助などの保険給付外し(19年度末までに措置)▽「かかりつけ医」以外を受診した場合の定額負担導入(18年通常国会に法案提出)▽湿布薬など「市販品類似薬」の自己負担引き上げ(18年度末までに措置)―などの制度改悪を狙っています。

“世界一、企業が活躍しやすい国” 大企業減税で税収空洞

 「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざすとする安倍政権のもとで、大企業優遇の政治が続けられました。大企業の業績は上向き、15年度は大企業の経常利益、当期純利益ともに史上最高額を更新しています。大企業にため込まれた内部留保も386兆円(銀行・保険業含む)に上ります。

 それにもかかわらず、17年度予算の税収見込みで、法人税収は12兆3910億円と、16年度当初予算比1580億円増と低い伸びにとどまりました。企業業績上昇に見合う法人税収増が得られていません。

 安倍政権は、大企業向けの減税を毎年のように行い、3年で4兆円減税しました。安倍政権は12年度に37%だった法人実効税率(国と地方を合わせた税率)を、16年度には29・97%まで下げ、18年度からは29・74%まで下げることを決めています。17年度「税制改正」大綱では、研究開発減税の対象に「サービス開発」を加えています。

 これまでの製造業中心から銀行や証券、通信の産業でも研究開発減税を受けられるようになりますが、実際のところ大企業が中心になると考えられます。

 大企業優遇税制で空洞化した税収を埋めているのが、消費税です。安倍政権が14年4月に強行した消費税増税は、個人消費を冷え込ませ、日本経済の低迷の要因となっています。


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