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2016年12月20日(火)

きょうの潮流

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 新幹線は止まるわ、道は規制されるわ、1万2千人に避難勧告が出るわ。師走でにぎわう日曜日の静岡・浜松市は朝から騒ぎでした▼JR東海の浜松工場で見つかった不発弾。太平洋戦争時の米軍の砲弾とみられます。爆破処理のために市民や公共機関が巻き込まれました。「こんなことは二度とごめん」と迷惑顔の避難者。一方でくり返される同様の騒ぎに「まだ出てくる」と不安が消えない高齢者も▼もともと織物産業を中心に栄えてきた浜松ですが、戦争の激化とともに兵器生産の需要が増大。織機や楽器の工場もそれに組み込まれていきました。地方都市のなかで群を抜いて空襲に見舞われたのも、軍需工場や航空基地が集中していたから▼周辺の町村を含めれば、じつに40回を数えるとの調査もあります。そのうえ、米軍機の進入路にあったことから飛行中のトラブル時や帰り道に爆弾を落としていました▼当時、爆撃を指揮したルメイ司令官は「浜松は爆弾を始末する“ゴミため”も同然であった」と述べています(『浜松の歴史』)。市民の命を一顧だにしない姿勢は今の沖縄米軍にも通じていないか▼浜松空襲や艦砲射撃のひどさを手紙で伝えてくれた佐倉忠夫さんも炎の海を逃げ惑ったひとり。84歳の今も語り部として活動し、戦争体験をまとめた文集も発行しています。「平和を守り、二度と過ちをくり返さないためにも次の世代へ」。70年余の時をこえて現れた一発の爆弾が、あの戦争の記憶とむごたらしさを思い起こさせます。


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