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2016年12月18日(日)

きょうの潮流

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 スパイから権力の頂点に上り詰めた男。ロシアのウラジーミル・プーチン氏は、よくこう例えられます。レニングラード大学法学部を卒業後、旧ソ連情報機関KGBに入ったのが40年前。そこから大統領への道が始まりました▼90年代に入ると、ソ連崩壊とともに政治の世界へ。クレムリン内で要職を担った後にKGBの後身ロシア連邦保安庁の長官に。エリツィン大統領のもとで首相となり、2000年5月ついに大統領の座に就きました▼国の破壊と再生。混迷の中で壮絶な権力闘争を勝ち抜いた人物。国家主義者、歴史家、サバイバリスト、アウトサイダー、自由経済主義者、工作員。米国の研究者は六つの顔をもった戦略家だと(『プーチンの世界』)▼それほど複雑で一筋縄ではいかない大国の指導者と温泉宿に泊まって信頼関係が築けたと吹聴する安倍首相。肝心要の領土問題は何も進展しないどころか、優先させた経済協力によって日本の主権を損なう危うさも▼クリミア併合で国際社会から経済制裁を受けているロシア。こうした覇権主義があるかぎり、領土問題でもその誤りを正面からただす立場での交渉が欠かせません▼安倍首相は共同会見で講道館柔道の創始者、嘉納治五郎が唱えた「自他共栄」を口にしました。しかしこれは互いを尊重し、平和な社会の発展に努めようというもの。今のロシアの姿勢とは正反対の精神です。それさえ分からず「ウラジーミル」や「君」と呼んで得意顔になっているようでは何のための外交か。


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