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2016年12月16日(金)

国民と国会ないがしろに

内閣不信任案 穀田国対委員長の賛成討論

衆院本会議

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 15日未明の衆院本会議で日本共産党の穀田恵二国対委員長が行った安倍内閣不信任決議案への賛成討論の要旨は以下の通りです。


写真

(写真)野党4党提出の内閣不信任決議案に対する賛成討論をする穀田恵二国対委員長=15日午前0時すぎ、衆院本会議

相次ぐ強行採決

 第一に、今国会における安倍政権の強権的な国会運営は断じて容認できません。

 今国会冒頭から政府与党による「強行採決」発言が相次ぎ、その言葉通りに、TPP(環太平洋連携協定)承認案と関連法案、「年金カット法案」、カジノ解禁推進法案などの強行採決が次つぎに行われました。いずれも国民生活にかかわる重要法案であり、世論調査では反対が多数です。多くの国民が慎重な審議をもとめていたにもかかわらず、国会と国民をないがしろにした安倍政権の責任はきわめて重大です。

 そもそも国会審議とはなにか。国民の生活や権利がどうなるのか、法案の全容を国民に明らかにするのが国会審議の責務です。そのためには、審議内容を国民に明らかにし、資料を公開し、関係者や専門家などの意見を公聴会や参考人質疑を通じて審議に反映し、内容を深めていく努力が不可欠です。いくら国会で多数議席を占めていても、それは個々の法案について国民から白紙委任を得たものでは決してありません。国民が納得できる徹底審議によって政治を進めるのが議会制民主主義です。

 ところが、今国会、安倍総理が最優先課題と位置付けたTPPの審議はどうですか。多国籍企業の利益を優先し国民生活を壊すTPPへの国民の疑問や不安に、政府はまともに答えなかったではありませんか。

 米国のトランプ次期大統領が「TPP離脱」を正式に表明し、TPPの発効が事実上不可能となりました。にもかかわらず安倍総理は、会期延長によってTPP承認を押し通し、「TPP並みのレベルの高いルールをいつでも締結する用意があるという国家の意思を示す」と強弁したのです。これは、今後の日米2国間協議などの場で、アメリカからいっそう譲歩を迫られ、国民生活と日本経済に深刻な打撃をもたらすものであり、「売国の政治」といわなければなりません。

 年金法案は、物価・賃金スライドとマクロ経済スライドの見直しによって、際限なく年金が削減される、まさに「年金カット法案」です。政府は“将来世代の給付確保のため”だといいましたが、現役世代も将来の年金水準は低下し、若い世代ほど削減されます。ところが、同法案は、衆院厚労委員会でのわずか19時間の審議で強行採決されました。参考人質疑を行ったその日に強行採決をしたことは、国民の声に耳を貸さない安倍政権の強権姿勢を示すものにほかなりません。

 カジノ解禁推進法案にいたっては、延長国会になって審議入りを強行し、衆院内閣委員会で6時間にも満たない審議で採決を強行しました。賭博場を解禁するという刑法原則にかかわる、この法案は、自民・維新による議員立法の形をとりながら、実際には安倍政権の成長戦略に位置づけられていました。官邸の肝いりで進めながら、政府が責任ある答弁はしないという無責任極まりないものです。

 国会法や規則、先例に基づく運営ルールさえ踏み破る強行採決は、国会の歴史に重大な汚点を残すものであり、必ずや厳しい審判を受けざるを得ません。

憲法無視の姿勢

 第二に、立憲主義を破壊し、憲法を無視する「暴走政治」を進める安倍政権の政治姿勢であります。

 安倍政権は昨年9月、多くの国民の反対の声を押し切って安保法制=戦争法を強行成立させました。立憲主義を破壊する暴挙に、広範な国民が声をあげ、憲法の平和主義を踏みにじった違憲立法に反対する運動が大きく発展したのは当然です。

 ところが、安倍政権は、この声に耳を傾けるどころか、安保法制=戦争法の本格的な実施への暴走を開始しました。南スーダンPKOに派兵されている自衛隊に「駆け付け警護」などの新任務を付与しました。内戦が深刻化する南スーダンで、自衛隊の任務を拡大するなら、最初の「殺し、殺される」ケースになりかねない危険があります。さらに重大なことは、南スーダン政府軍によって国連への攻撃が続発していることです。「駆け付け警護」を行うなら、自衛隊が政府軍と交戦するという憲法が禁止した武力行使に陥る危険があります。自衛隊の新任務付与をやめ、南スーダンから撤退し、日本の貢献は非軍事の人道・民生支援に切り替えるべきです。

 安倍総理が自民党の改憲草案を「改憲のベース」と位置づけ、改憲への動きを強めていることも重大です。改憲草案は基本的人権の尊重や国民主権といった基本的価値を否定するものであり、断固として許されるものではありません。

 沖縄で米軍普天間基地所属のオスプレイが墜落事故を起こしました。配備を強行した日米政府の責任は重大です。しかも、「住民に被害を与えなかったことは感謝されるべきだ」という米軍司令官の発言は言語道断です。オスプレイの全面撤去と、新たな配備計画の撤回、米軍北部訓練場におけるオスプレイパッド建設を即刻中止・撤去すること、辺野古新基地建設をやめ、危険な普天間基地は直ちに閉鎖し、無条件撤去することを強く要求するものです。

格差と貧困拡大

 第三に3年半の「アベノミクス」の行き詰まりと破綻です。

 安倍総理は、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指すと宣言し、まず大企業を応援し、大企業がもうけを上げれば、いずれは家計に回ってくると言い続けてきました。しかし、現実は、大企業は3年連続で史上最高の利益をあげましたが、労働者の実質賃金は、3年のうちに、年額で17万5千円も減り、家計消費は実質14カ月連続でマイナスとなっています。格差と貧困がいっそう拡大し、社会と経済の危機を深刻にしています。

 ところが安倍内閣は、格差と貧困にいっそうの拍車をかけようとしています。年金削減にとどまらず、社会保障費の「自然増削減」路線のもと、医療費負担増、介護サービス取り上げ、生活保護切り下げなど、国民生活破壊に次々と手を付けようとしています。もはや安倍総理に日本経済のかじ取りをまかせるわけにはいきません。

 さらに重大なことは、安倍政権が原発を将来にわたって推進することを決め、原発再稼働を進めていることです。東京電力福島第1原発事故から6年近くが経過しても、なお8万6千人もの人々が避難生活を強いられ、政府が進める避難指示解除と賠償の打ち切りが、被害者に新たな苦しみを押しつけており、原発再稼働のために福島を切り捨てる政治に対する深い怒りが広がっています。破綻した原発再稼働路線を中止し、原発ゼロの日本に踏み出すことこそ求められています。

 最後に訴えたいのは、安倍政権の暴走政治をどう止めるかです。

 昨年、安保法制反対に立ちあがった市民の運動は、「主権者は私だ」「野党は共闘」と声をあげ、憲法違反、立憲主義破壊の安倍暴走政治を打倒し、「立憲野党」の連合政権をつくる動きに発展してきました。

 いまこそ、立憲主義、民主主義、平和主義を貫く新しい政治、すべての国民の「個人の尊厳」を擁護する新しい政治を切り開くべきです。そのため、野党と市民の共闘をさらに大きく発展させ、安倍政権を打倒し、自民党政治を終わらせ、野党連合政権をつくることを強く訴えるものであります。


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