「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年12月11日(日)

「部落差別」永久化法案

参院本会議 仁比議員の反対討論

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 9日の参院本会議で日本共産党の仁比聡平議員が行った、「部落差別」永久化法案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。


写真

(写真)反対討論する仁比聡平議員=9日、参院本会議

 本法案は、部落差別解消のための「理念法」といいながら歴史に逆行して新たな障壁をつくり出し、部落差別を固定化、永久化する恒久法であり、その危険は極めて重大です。

 部落問題は封建的身分そのものではなく、その残滓(ざんし)です。その解決は、民主主義の前進を図る国民の不断の努力を背景に大きく前進し、国の同和対策特別事業の終結から14年たつ今日、社会問題としての部落問題は基本的に解決された到達点にあります。

 時として起こる、不心得な非科学的認識や偏見に基づく言動が、社会で受け入れられないという民主主義の力を強めていくことこそ重要です。行政の施策はすべての国民に公平に運用するのが原則であり、人権問題の相談、教育、啓発活動は、憲法に基づき一般施策で行うべきです。

 関係団体が出席する参考人質疑の実現(6日)は極めて重要なものとなりました。部落解放同盟(「解同」)は、「部落差別はいまだに根深く厳しい」旨の認識を示しましたが、自由同和会推薦の参考人は、その「現状認識は差別の過大評価」で、「日本は(差別を)うまくなくしてきている」旨の評価を述べました。全国地域人権運動総連合は、「部落が部落でなくなっている状況」、「国民の多くが日常生活で部落問題に直面することはほとんどなくなった」と明確に述べました。部落問題の特別扱いを復活させる本法案の立法事実はないのです。

 法案に「部落差別」の定義規定はありません。提出者は「肌で分かっている」、「部落の出身であることを理由とした差別」と言うだけで、それがどのように存在するのか具体的に示せませんでした。それは「解同」が示す考え方を法に持ち込むものです。極めて曖昧で、乱用による表現や内心の自由が侵害される危険は重大です。

 かつて「解同」は、「部落民以外は差別者」「差別かどうかは解同が認定する」として、八鹿高校事件をはじめ数々の暴力的確認糾弾事件を引き起こし、今日も綱領の解説文書で「糾弾の取組を堅持する」としています。

 民間運動団体の行き過ぎた言動、その圧力に屈した行政の主体性の欠如が、新しい要因となって新たな差別意識を生むことこそ歴史の教訓です。

 不公正な同和行政による特権と利権の復活が懸念されます。「部落差別の解消に関する施策」「相談」「教育及び啓発」「実態調査」の条文は無限定で、これが民間運動団体の「あれも差別、これも差別」といった圧力の根拠となり、補助金や委託による施策を押しつけられ、学校や自治体、企業や地域、あるいは人権擁護委員にまで、特定団体による教育、啓発が強制されかねません。また、各地になお残る個人給付を含む同和対策の特別扱いを固定、助長することにもなります。

 行政に義務づけられる「実態調査」は、旧同和地区住民の洗い出し、精密調査や行き過ぎた意識調査によって、それ自体が国民の内心を侵害し、分け隔てなく生活している住民の間に新たな壁をつくり出す危険があります。

 これらが、部落問題についての自由な意見交換を困難にし、部落問題の解決に逆行することは明白です。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって