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2016年12月10日(土)

TPP承認案・関連法案

辰巳議員の反対討論

参院本会議

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 9日の参院本会議で、日本共産党の辰巳孝太郎議員が行った、環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。


 TPPに反対する最大の理由は、多国籍企業の利益を最大化する一方で、国民のくらしや農業、医療などを破壊する最悪の貿易協定であることです。

 政府はトランプ次期米大統領による明確なTPP離脱表明にもかかわらず批准を強行しようとしています。TPPが国民生活をさらに危険にさらすものだからこそ、米国でも日本でも、国民の大多数に反対の声が広がったのです。そのような世界の潮流も分からずTPPにしがみつけば、米国をつなぎ止めるためにさらなる譲歩を重ねざるを得ません。また米国が2国間協議を求めてきた際には、日本はここまで譲歩する覚悟があるということを示すことになり、日本の経済主権を売り渡し、不平等条約への道を突き進むものとなります。

 質疑を通じてTPPの重大な問題点が明らかになりました。

 第1は日本の農業に壊滅的な影響を与えることです。国会決議で「除外」「再協議の対象」にするとしたコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物など重要5項目では、約600品目のうち約3割で関税が撤廃され、残りも無傷のものは何一つありません。

 TPPは被災地の復興にも逆行します。岩手県議会では11月、批准反対の意見書が採択されました。被災者の声に耳を傾け被災地の復興を第一に考えるのなら、彼らの生業(なりわい)を根こそぎ奪うTPPは許されません。

 第2は、米国や多国籍企業の要求を際限なく受け入れることになる問題です。総理は「国益を守る」と繰り返しますが、日本はこれまで、米国の数々の身勝手な要求を受け入れ、命や暮らしに直結する制度がゆがめられてきました。

 食の安全もすでに脅かされています。現在日本では使用上限を定める基準がないにもかかわらず、毒性が指摘されているアルミニウム食品添加物をさらに4品目解禁することをサイドレター(日米並行交渉の合意文書)で約束していることが明らかになりました。

 第3は、ISDS(投資家対国家紛争解決)条項が司法権をも蹂躙(じゅうりん)する問題です。政府は「日本は提訴されることはない」と繰り返してきましたが、根拠のない楽観論に過ぎません。政府は、日本の司法判断において勝訴し仲裁廷で敗訴した場合、「条約を順守する立場から、仲裁廷に従う」と答弁しました。ISDS条項がわが国の司法権さえ侵害するということを政府が認めたもので重大です。

 第4は、TPPによって必要な国内の規制も課税もできなくなることです。政府が検討している「民泊新法」で、安全・衛生規制のために外国法人の民泊仲介業者にも国内の事務所設置を求めることはTPPの規定に抵触するとして、検討項目から削除されました。TPPによって安全・衛生規制ができなくなったのです。これは、「恒久的施設なくして課税なし」という租税原則のもとで外国法人への課税の機会を縮小させ、多国籍企業の租税回避が野放しにされかねません。

 あらゆる分野で主権を損なう亡国のTPPではなく、各国の経済主権と食料主権を尊重し、国民のくらしを守る平等・互恵の貿易・投資のルールこそ求められています。


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