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2016年12月10日(土)

産業構造の改革を提起

経済民主主義の一環

企業規模と地域間の格差是正

激動の時代に 第27回党大会決議案から

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 安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」は4年経過し、行き詰まりと破綻が明確になっています。大企業と中小企業、都市と地方の格差も広がり、日本社会と経済の大問題になっています。日本共産党の第27回大会決議案は「格差と貧困をただす経済民主主義の改革」を呼びかけ、税金の集め方、使い方、働き方の改革と合わせて、格差是正に向けた産業構造改革の道筋を提起しています。


振興策と規制策の「車の両輪」

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 大企業と中小企業では大きな賃金格差があります。中規模事業所(従業員30〜99人)の平均賃金は大企業の約6割。小規模事業所では5割程度です(厚生労働省「毎月勤労統計調査年報」)。

 大都市と地方との格差拡大、地域経済の疲弊も深刻です。農業では、2000年代に入ってから総生産額がマイナス7・3%、農業所得はマイナス17・3%。生産が減り、それをはるかに上回る規模で所得が減っています。

 地域経済を支える中小企業、農林水産業の困難と衰退は、輸送、商業、加工など関連産業の苦境にもつながり、地方の疲弊に拍車をかけています。

中小企業を根幹に

 中小企業が活気を取り戻してこそ、日本経済再生の確かな足場が保証されます。決議案は、格差と貧困を是正するために、日本企業の99%を占め、雇用の7割を支える中小企業を「日本経済の根幹」に位置づけて対策を進めることを求めています。

 決議案は、中小企業の振興策と、大企業・大手金融機関の横暴から中小企業を守る規制策を「車の両輪」として進めることを呼びかけています。

 国の中小企業予算は16年度1824億円。一般歳出比で史上最低です。中小企業に冷たい政治を転換し、商品開発、販路開拓への援助や技術支援など振興策を拡充することが必要です。

 また、中小企業の経営を守るため、親会社による買いたたきなど、大企業による不公正な取引が横行する異常な状況を根絶しなければなりません。下請法違反の疑いで公正取引委員会が着手した件数は15年度6271件、このうち違反行為を認めたのが5984件ですが、是正勧告は4件にすぎません。下請代金法が、下請け業者から申告があった場合だけ、公取委が調査に入る仕組みになっているからです。公正な取引を実現するためには、中小企業を守る規制策の抜本的な強化が欠かせません。

自給率向上を柱に

 日本共産党綱領は「国の産業政策のなかで、農業を基幹的な生産部門として位置づける」としています。決議案は「食料自給率向上を国の産業政策の重要な柱にすえる」ことを掲げています。

 経営耕地面積が30アール以上、または農産物販売金額が年間50万円以上の「販売農家」は、2000年には233万戸ありました。16年には126万戸とほぼ半減です。食料自給率は主要国最低水準の39%にまで落ち込みました。日本共産党は、国が自給率を50%に引き上げることを目標に据え、農林水産業の再生を図るよう求めています。

 農産物の価格保障・所得補償を抜本的に強化することは安心して再生産できる土台をつくります。豊凶変動や価格の乱高下が避けられない農産物の価格保障は、再生産を保証し、農家の意欲を高めるうえで決定的です。国土や環境保全など農業の多面的な機能を評価して、農地面積などを対象にした各種の直接支払い(所得補償)を抜本的に充実しなければなりません。

 公共建築への国産材利用の促進など林業振興策、魚価安定対策の強化や資源管理型漁業など漁業経営の支援も求められています。

内発型の地域振興

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 地域振興策を、大企業誘致などによる「呼び込み」型から、地域にある産業や企業などを支援し伸ばす「内発」型に転換します。公共事業を大型開発から、地域循環・生活密着型に転換します。

 日本が世界に後れをとる再生可能エネルギーの開発に本格的に取り組むことも急務です。

 また、最低賃金の地域間格差の是正が必要です。最低賃金は最高額の東京都で時給932円。最低の宮崎県や沖縄県では714円です。全国一律最低賃金制に踏み出すことが重要です。最賃は、「いますぐどこでも時給1000円」を実現し、1500円を目指します。最賃引き上げには、社会保障費の負担減免や賃金助成など、中小企業支援の抜本的拡充が不可欠です。

大会決議案から

 ―中小企業を「日本経済の根幹」に位置づけ、中小企業の商品開発、販路開拓、技術支援などの“振興策”と、大企業・大手金融機関の横暴から中小企業の経営を守る“規制策”を「車の両輪」としてすすめる。

 ―農産物の価格保障・所得補償を抜本的に強化し、安心して再生産できる土台をつくる。公共建築への国産材利用促進など林業振興策、魚価安定対策の強化や資源管理型漁業など漁業経営の支援を行う。食料自給率向上を国の産業政策の重要な柱にすえる。

 ―地域振興策を「呼び込み」型から、地域にある産業や企業など今ある地域の力を支援し、伸ばす、「内発」型に転換する。公共事業を大型開発から、地域循環・生活密着型に転換する。再生可能エネルギー開発に本格的に取り組む。

 ―最低賃金の地域間格差を是正し、全国一律最低賃金制を確立する。


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