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2016年12月9日(金)

主張

南スーダン新任務

現実的危険認めぬのは異常だ

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 南スーダンPKO(国連平和維持活動)=UNMISSに派兵されている自衛隊に、戦争法(安保法制)に基づき新たに付与された「駆け付け警護」任務が12日から実施可能となります。同国では政府軍によるUNMISSや国連、NGOの職員らへの攻撃が続発しており、自衛隊員が“殺し、殺される”現実的な危険が差し迫っています。そうした中で行われた党首討論(7日)で日本共産党の志位和夫委員長は、自衛隊が「駆け付け警護」を行えば、憲法が禁じた海外での武力行使になる危険を具体的に告発し、新任務付与の撤回を安倍晋三首相に迫りました。

無責任極まる首相の態度

 「駆け付け警護」は、PKOの他国軍兵士や国連、NGO職員らが襲撃された際、離れた場所にいる自衛隊が現場に駆け付けて救助する任務です。戦争法によって「駆け付け警護」の任務遂行のための武器使用も認められています。

 安倍内閣を含めて政府は、「駆け付け警護」に伴う武器使用を「国または国に準ずる組織」に対して行えば、憲法9条が禁じる「武力の行使」に該当するおそれがあるとの憲法解釈を示しています。

 南スーダンでは2013年12月以来、深刻な内戦が続き、今年7月には首都ジュバで大規模な戦闘が起こっています。その際、80人から100人の政府軍兵士が国連やNGO職員の滞在するホテルを襲撃し、殺人、暴行、略奪、レイプなどを行いました。

 こうした事態の下で自衛隊が「駆け付け警護」を行えば、南スーダン政府軍に対し武器を使用することになり、日本政府の解釈からも、憲法が禁止する海外での武力行使になるのではないか―。

 志位氏の追及に安倍首相は、南スーダン政府は「自衛隊のPKO部隊を受け入れることを明確にしている」とか「干戈(かんか)を交えることにはならない」と言うだけで、何ら答えられませんでした。

 戦争法は、「駆け付け警護」について「国または国に準ずる組織」に対して自衛隊が武器を使用しないことを確保するためとして、派遣先国の政府などによる「受け入れ同意が安定的に維持されている」ことを任務付与の条件として規定しています。「受け入れ同意の安定的な維持」がなければ、「駆け付け警護」の任務付与はできません。自衛隊が「駆け付け警護」で南スーダン政府軍に武器を使用する危険性を認めてしまえば、部隊は撤退しなければならなくなります。

 新任務付与と自衛隊派兵ありきで南スーダンの現実を全く見ようとしない首相の姿勢は無責任極まります。核心に関わる問題に何ら答えず、無意味な答弁を長々とするのはあまりにも不誠実です。

「受け入れ同意」は破綻

 「受け入れ同意」の問題に関し、直近の国連報告書は、南スーダン政府・軍がUNMISSに対し「任務遂行中の移動妨害」や「要員の逮捕、拘束、迫害、襲撃、脅迫」など敵対的行為を持続的、組織的、恒常的に行っていることを詳しく明らかにしています。「『受け入れ同意が安定的に維持されている』などとは到底言えない」(志位氏)のが現状です。

 違憲の武力行使につながる新任務付与の撤回はもちろん、自衛隊を速やかに撤退させ、日本の支援は非軍事の人道支援、民生支援に切り替えることこそ必要です。


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