2016年12月8日(木)
不登校児に安心居場所を
参院委で吉良氏ただす
教育機会確保法案 本会議で可決
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不登校対策と夜間中学への支援を盛り込んだ議員立法の教育機会確保法案が7日、参院本会議で賛成多数で可決しました。日本共産党は、夜間中学の開設・拡充につながる支援は必要だが、学校復帰が前提の不登校対策は子どもと親をさらに追い詰めるとして反対しました。希望の会(自由・社民)も反対しました。
採決に先立つ6日の文教科学委員会で、日本共産党の吉良よし子議員が、参考人の広木克行神戸大名誉教授に不登校の子どもの心の状態と必要な支援について尋ねました。
広木氏は、不登校の子どもは、管理的な学校生活や人間関係の苦悩と、不登校になり学校に行けないことで自己否定を深める「二重の苦しみ」を抱えていると指摘。不登校とは「現在の自分から過去と未来を切断することで、崩れ去りそうな現在の自分を守りつつかろうじて生きている状態だ」と語りました。大切なのは「安心していられる家庭などの居場所」で、学校復帰を前提とした働きかけは「その話を拒絶する自分自身への絶望感を強める」と戒めました。法案については「(不登校の)子どもへの対応が明示されていない」と批判しました。
吉良氏は、生徒自身が不登校の理由として「教職員との関係」をあげた調査を示し、「不登校児童生徒」の定義について子どもの心の問題ととらえる法案の問題を指摘しました。提案者に「当事者を原点にしない対策はかえって当事者を苦しめてしまう」と「教育機会の確保」ありきの支援を押し付けるなと追及。法案の「不登校児童生徒の休養の必要性」にふれ、「誰もが安心して休める学校こそ、誰もが安心して通える学校ではないか」とただしました。提案者の富田茂之議員(公明)は「無理して頑張る子どもに『休んでもいい』というメッセージを届けたい」と答えました。
吉良氏は、法案の最大の問題は当事者の声が反映されていないことだと批判し、意見を聞くよう求めました。