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2016年12月8日(木)

南シナ海問題

中国の動き 仲裁裁も批判

新しい大国主義・覇権主義

激動の時代に 第27回党大会決議案から

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 日本共産党第27回大会決議案は、中国による新しい大国主義・覇権主義の動きについて言及しています。(1)核兵器問題での態度の変質(2)東シナ海と南シナ海で力による現状変更を推し進める動き(3)国際会議の民主的運営を踏みにじる横暴な行動(4)日中両党間で確認してきた原則を無視した対応―という四つの問題点を指摘しました。なかでも、他国との緊張関係を引き起こした南シナ海における中国の行動は、今年7月、常設仲裁裁判所が下した裁定(判決)でも、厳しい批判を受けました。


誤り改め国際社会の信頼得る道を

 南シナ海は、石油・天然ガスなどの海底資源があり、豊かな漁場です。中国と、東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟するフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイが、南沙(英語名スプラトリー)諸島、西沙(同パラセル)諸島の全部あるいは一部の領有権を主張。各国が主張する境界線は重なり合い、争いが絶えません。

 1988年には、中国とベトナムの間で武力衝突が発生。中国軍がベトナム側に砲撃を加え70人近い死者を出し、ジョンソン南礁などを武力占拠しました。95年には、フィリピンが領有権を主張するミスチーフ環礁に、中国が一方的に建造物を構築したことで、軍事的緊張が高まりました。

行動宣言に調印

 こうした中で2002年、平和的解決を目指しASEANと中国は、国連憲章や国連海洋法条約など国際法の順守▽関係国間の直接協議を通じた領土紛争の平和的解決▽船舶・航空機の自由通航権の保障―など10項目からなる「南シナ海行動宣言」(DOC)に調印しました。

 09年5月、ベトナムとマレーシアが南シナ海での大陸棚限界延長にかかわる共同申請を国連に行ったことに反発した中国は、国連事務総長あての外交文書で、U字型の「九段線」の地図を示し、南シナ海のほぼ全体に「主権的権利と管轄権」があると、初めて公式に主張。また、この主張が国連海洋法条約で制度化した排他的経済水域(EEZ)と相いれないことについては同条約が適用されない「歴史的権利」があると正当化しました。

 12年4月には、フィリピンと中国が領有権を主張し、フィリピンが実効支配してきたスカボロー礁で、フィリピン海軍が、中国漁船に立ち入り検査を実施。それをきっかけにフィリピン沿岸警備隊と中国軍の公船がにらみ合いとなりましたが、その後、中国が同礁を事実上支配しました。

 こうした状況のもと翌年1月、フィリピンは中国を提訴。中国が主張する九段線が周辺国の主権下に置かれる領域、EEZ、大陸棚も含むため、国連海洋法条約違反であり無効だとしました。記者会見したデルロサリオ外相(当時)は「裁判所が恒久的な解決策をもたらすことを希望する」と述べました。

 裁定では九段線について歴史的事実に照らしても、「法的根拠がない」と結論付けました。

 中国側は「フィリピンが一方的に申し立てた仲裁裁判を受け入れることも参加することもしない」と繰り返し、裁判への参加を拒否しました。仲裁開始以降も南沙諸島で大規模な人工島の造成、3000メートル級の滑走路の建設などを強行。裁定はこうした行動についても「紛争を悪化させた」と指摘しています。

平和的解決こそ

 中国は、「仲裁裁判の裁定に基づくいかなる主張も、行動も受け入れない」との態度を崩していません。

 仲裁裁判所は、今回の裁定で、フィリピンが求めていた中国の主張に対する違法性の宣言は行いませんでした。中国が自らを正す誠意を前提に、紛争の平和的解決を求めたのです。

 決議案が述べているように、中国は戦後、「平和5原則」や「バンドン平和10原則」など、国際政治の重要な民主的原則の形成に関わってきました。だからこそ、南シナ海問題をはじめ、大国主義・覇権主義の誤りを改め、国際社会の信頼を得る道を進むべきです。


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