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2016年12月7日(水)

主張

高速炉開発計画

核燃料サイクルから撤退こそ

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 安倍晋三政権が、高速炉開発方針の骨子を明らかにしました。核燃料サイクルの推進と高速炉開発のために、もんじゅ(福井県)の活用を含むロードマップを2018年までに策定します。年内にも原子力関係閣僚会議で基本方針を決めるといいます。

 方針は、福島原発事故の収束もできないまま、高速増殖炉もんじゅの失敗にも懲りずに、核燃料サイクルに固執し、新たな原発の開発に突き進もうというものです。

新たな無駄遣い事業

 原発の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、核燃料として再利用するのが、核燃料サイクルです。その中核施設が高速増殖炉であり、ウラン資源を桁違いに有効利用できるとされてきました。

 しかし、高速増殖炉もんじゅは、ナトリウム漏れ・火災事故や約1万件の点検漏れなど事故・事件を繰り返してきました。高速増殖炉開発の失敗と核燃料サイクル路線の破たんは明らかです。

 もんじゅには約1兆円の国費が投じられており、巨大事業の失敗と無駄遣いの典型として、国民的な批判の的となり、政府も「廃炉を含めて抜本的に見直す」ことを余儀なくされました。

 ところが政府は、もんじゅ見直しと同時に、新たな高速炉開発を表明しました。高速炉は技術的には高速増殖炉と同様の原子炉です。もんじゅ失敗などこれまでの原子力開発に対する根本的反省もなく突き進めば、新たな無駄遣い事業となることは必至です。

 政府は、再処理の際に、半減期の長い他の物質も取り出し、プルトニウムとともに高速炉で燃やせば、核のゴミの減容化・有害度低減にもなるといいます。この構想を実現するには、建設中の再処理工場とは異なる設計の再処理施設が必要です。高速炉の使用済み燃料という新たな核のゴミも生じます。技術的な見通しもなく、「絵に描いた餅」にすぎません。

 政府が核燃料サイクルに固執するひとつの動機は、原発再稼働の条件整備です。

 いま国内には、約1万8千トンの使用済み燃料があります。原発を再稼働させれば、使用済み燃料は際限なく増え続けます。その処理ができなければ、平均6年程度で貯蔵限界に達し、原発も稼働できなくなります。この矛盾をごまかすために、使用済み燃料が「ゴミ」ではなく「資源」であるかのように描きたいのです。

 そもそも再処理は、燃料棒に閉じ込められている放射性物質を強酸で溶かし出し、有機溶媒で処理するため、火災・爆発や臨界事故の危険を伴う工程です。多大なコストをかけてあえて危険な事業を進める必要はありません。プルトニウムは核兵器の原料そのものであり、核兵器保有国を除けば日本以外に商業用の大規模再処理施設を持つ国はありません。

原発ゼロこそ責任ある道

 安倍政権は、もんじゅ廃炉と核燃料サイクルからの撤退を決断すべきです。

 使用済み燃料をどう処理するかは、真剣な研究と国民的合意形成が必要な問題です。原発を再稼働させ使用済み燃料を増やすことは、あまりにも無責任です。原発再稼働を断念し、「原発ゼロ」をただちに決断することこそ、責任ある道です。


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