2016年12月7日(水)
新たな差別生む危険
「部落差別」永久化法案 参考人が指摘 参院法務委
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参院法務委員会で6日、自民、公明、民進提出の「部落差別」永久化法案(部落差別解消推進法案)の参考人質疑が行われました。同法案が「差別解消」に逆行し、新たな差別を生み出し固定化永久化する危険が浮き彫りになりました。
全国地域人権運動総連合の新井直樹事務局長は、同和事業が終結し、14年経過するもと、いまや「同和関係者」などを特定することも困難となり、「部落」は「今日ではすでに消滅および過去の歴史的概念になりつつあり、実体として現実を把握しがたい」と指摘。「部落差別」の定義がなくても「一義的に理解できる」との提案者答弁について、「実態からかけ離れている」と述べ、「歴史的社会的営みの到達点を政治的思惑で根底から壊すものだ」と廃案を求めました。
石川元也弁護士は、矢田事件や八鹿高校事件など「解同」(部落解放同盟)とのたたかいをめぐる裁判判決を引用し、それが政府方針を動かしてきたと強調。「解同」による「確認・糾弾」の「圧力」が行政の主体性を奪ったと、同和行政の歴史を告発しました。
部落問題をめぐる現在の到達点について、「解同」中央本部書記長の西島藤彦氏は、「今日、部落差別が存在し、厳しい実態」と述べました。自民党の友誼(ゆうぎ)団体の自由同和会が推薦する灘本昌久・京都産業大学教授は、「日本はうまく(差別を)なくしてきている。西島氏の現状認識は差別の過大評価だと思う」と述べました。
西島氏は、「解同」の「確認・糾弾」路線が引き起こした八鹿高校事件などへの認識を問われ、「50年ほど前の話」と弁明。これに対し石川氏は「50年前の事件とはならない。事件の総括に直接答えがないのでは、弊害は今後に続きかねない」と警告しました。