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2016年12月3日(土)

トランプ米次期政権

経済閣僚 億万長者の投資家

どこが「労働者の味方」

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 来年1月に就任するトランプ米次期大統領が、選挙戦では「労働者の味方」を装ったにもかかわらず、ウォール・ストリート(米金融街)を代表する人物を経済閣僚に起用して批判を浴びています。11月30日にスティーブン・ムニューチン氏を財務長官に、ウィルバー・ロス氏を商務長官に指名すると発表。いずれも選挙戦時からの取り巻きで、億万長者の投資家です。(ワシントン=遠藤誠二)


 米マスコミの報道などによると、ムニューチン氏は、世界最大の投資銀行であるゴールドマン・サックスを17年間勤め、最後は幹部になりました。父親も同社出身。2004年に独立し、自身のヘッジファンドを設立。その後、ハリウッド映画のプロデュースを行う会社を立ち上げました。

 同氏は、破たんした住宅金融会社を買収・再建させ売却し、多額の利益をあげました。ムニューチン氏が買収した住宅金融機関、インディマック銀行(後にワンウェスト銀行に改名)をめぐっては、支払いが滞った多数の低所得者の抵当が取り上げられ、同行は「差し押さえマシン」とよばれるまで悪名をはせました。

 カリフォルニア州を拠点に活動する非政府組織(NGO)「カリフォルニア・リインベストメント・コアリション」は、同行により、州内の3万6000世帯が差し押さえられたと指摘。ムニューチン氏の長官指名は、「公民権、勤労世帯、消費者保護に対する一連の政府の攻撃の兆候」と警鐘を鳴らしています。

 商務長官になる予定のロス氏は、トランプ氏の経済政策顧問。投資会社を経て、鉄鋼分野など経営不振の会社を買収・再建、売却し利益をあげてきた億万長者です。日本の幸福銀行(当時)も買収した経験を持ちます。

 ニューヨーク・タイムズ紙30日付は、大統領選でトランプ氏はウォール・ストリートを「米国の労働者階級から略奪し、国家の財産を裸にし、そのお金を一握りの大企業のポケットに入れてきた」と批判したが、そのウォール・ストリートのエリートがトランプ氏の経済政策の陣頭指揮を取ることになったと報じました。


国防長官 「狂犬」の異名

元中央軍司令官 文民統制に懸念

 【ワシントン=遠藤誠二】トランプ次期米大統領は1日、オハイオ州シンシナティの集会で演説し、次期国防長官にジェームズ・マティス元中央軍司令官を指名すると表明しました。3年前に退役したばかりの元軍人の指名に対して、文民統制を損ないかねないとの懸念が出ています。

 連邦法の規定では、文民統制(シビリアンコントロール)の原則から、軍人は退役後7年間、国防長官に就任することができません。トランプ政権は、議会から同規定の免除を受けて、指名を進める構え。1950年にトルーマン大統領が規定免除を適用して、マーシャル元陸軍参謀総長を国防長官に指名しました。

 マティス氏は、海兵隊出身の66歳。米国によるイラク侵攻では、市民が多数犠牲になった2004年の同国ファルージャ制圧作戦で中心的な役割を果たしました。イラクやアフガニスタンなど中東諸国が中心の地域を管轄する中央軍の司令官を務め、13年に退役しました。

 「狂犬」の異名通り、過去には、アフガンの反政府武装組織タリバンへの攻撃について、「ベールを着用しない女性に暴力を振るうやつらを撃つのは楽しい」と発言し、物議をかもしました。

 新政権の重要ポストの指名は国務長官が残されています。ペトレイアス元中央軍司令官(元CIA長官)の名も取りざたされており、同氏が指名されれば国防・国務両長官にイラク戦争で指揮をとった元軍人が納まることになります。


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