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2016年12月3日(土)

きょうの潮流

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 わが国で賭博を戒めた記述をたどると、「日本書紀」までさかのぼります。双六(すごろく)の禁止令。次の「続日本紀(しょくにほんぎ)」には、悪の道に迷い込み、家業を失い、孝道にも欠ける。よって固く双六を禁断せよと▼賭博に対する為政者たちの厳しい態度はその後も続き、江戸時代には各藩が目を光らせました。明治になると刑法で罰せられ、懲役の対象に。しかし敗戦後に統制は崩れ、競馬や競輪、競艇、パチンコと、日本は賭博大国になっていきました▼ギャンブル依存に詳しい精神科医で、作家の帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)さんの著書に教わりました。「ことギャンブルに関して、わが国は無法状態。国家自体がギャンブル依存に陥っている」。帚木さんは警鐘を鳴らします▼無間地獄。ギャンブル依存の恐ろしさを表すときによく使われます。やめたくてもやめられない、本人だけでなく家族や周りも巻き込み、犯罪をも誘発させる。破滅への道を広げるカジノ法案が、たった6時間の審議で衆院委員会を強行突破されました▼「安倍政権“カジノ解禁”でトランプにゴマスリ」(日刊ゲンダイ)。米次期大統領トランプ氏の大スポンサーで、世界一のカジノ王が日本進出を熱望している。だから恩を売るために早く成立させたい。そんな臆測を呼ぶほどの性急さです▼いくら経済効果を掲げても、ごく少数の莫大(ばくだい)な利益のために、膨大な人びとを苦しめるのが賭博です。国民を不幸にしてまでやりたいことを押し通す道理のなさ。それこそ権力に依存した者の救いのない姿です。


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