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2016年11月27日(日)

主張

規制改革農協提言

協同事業の事実上解体やめよ

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 安倍晋三政権の規制改革推進会議・農業ワーキンググループが公表した農協「改革」の「意見」をめぐる自民・公明の調整がまとまり、今週、正式決定されようとしています。「意見」は、(1)1年以内にJA全農の農産物委託販売を廃止し全量買い取り販売に転換する(2)全農の購買事業を新組織に転換しメーカーに関連部門を譲渡・売却する(3)信用事業を営むJAを3年後に半減する(4)指定生乳生産者補給金制度を生産調整未参加者にも広げる―などです。与党は期限の設定や信用事業の3年後半減など一部を削除しましたが、農協「改革」を求める立場は同じです。

農政の破たん農協に転嫁

 「意見」に対し、農協はもとより多くの関係者から団体の自主性を破壊し、協同組合の否定にもつながりかねないと厳しい批判の声があがっていました。

 規制改革推進会議は、安倍首相が破壊すべき「岩盤規制」と位置づける農業、労働(人材)、医療・介護などについてワーキンググループを設置し、財界代表や学者を中心メンバーに「改革」を推進する政権の御用機関です。農協組織を解体に導くに等しい「意見」は、月内に発表予定の政府・与党の農業「改革」方針に「反映」させるため発表したものです。

 政府・財界は、農業所得を増やすために農協「改革」が必要だといい続けてきました。たしかに日本の農業は、1980年代の世界貿易機関(WTO)の協定受け入れ以降、急激に衰退しています。農業産出額は約30%、農家の所得(農業生産所得)は50%も大幅に減少し、その結果、農協の扱い高も減っています。主な原因が農産物の輸入野放し、農産物価格政策の放棄をすすめた自民党農政にあることはあきらかです。農協が日本農業の最大の問題だというのは事実に反するだけでなく、いま各地に広がっている環太平洋連携協定(TPP)への不安と怒りを農協に向けさせる狙いもあります。

 農協組織が農業資材をできるだけ安く供給し、生産物をできるだけ有利に販売しようと努力するのは当然です。農業者が農協の資材価格が高いと感じる大きな要因は農産物価格が安すぎるためです。欧米諸国の多くが農産物の価格支持を続けるのは、自然の制約をうける農業生産が自由取引では不利になるからです。適正な水準での価格・所得補償と資材価格引き下げの努力が結びついてこそ農家の所得向上につながります。

 信用事業を含むJAの半減という「意見」も、組合員の願いや要求と逆行します。農協組織は、資金不足に悩む農家、農村での助け合いからはじまっています。地域に暮らす准組合員も農協の信用・共済事業を頼りにしています。指定生乳生産者団体制度も大部分の酪農家にとって頼みの綱です。

力あわせた自己改革こそ

 農協の信用・共済事業や販売・購買を目の敵にしているのがアメリカと日本の金融資本であり、農業参入をたくらむ多国籍企業です。

 自民党は、「自己改革が基本」といいますが、政府・与党が「改革」の進捗を管理するとしています。農協「改革」の押し付けでなく、農業・食料の危機を招いた自民党農政の抜本的見直しを進め、農家・組合員を基礎に、地域の人々の信頼も広げる改革の努力を保障していくことが重要です。


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