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2016年11月24日(木)

核兵器禁止条約 画期的な動き

非人道性 諸国が認識

粘り強い運動 世界動かす

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 日本共産党の第27回大会決議案は第2章で、10月27日に国連総会の第1委員会が核兵器禁止条約の締結交渉を来年開始する決議案を、圧倒的多数で採択したことに言及し、「核兵器廃絶にむけた画期的な動き」と評価しています。

 一度に大量の人を無差別に殺し、大規模な破壊をもたらす大量破壊兵器のうち、生物兵器と化学兵器についてはいずれも、禁止条約がすでに発効しています。ところが核兵器については、兵器そのものを禁止する条約はいまだに締結されていません。

核軍拡競争

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(写真)核兵器禁止条約について交渉する会議を来年に招集する決議案を採択した国連総会第1委員会=10月27日、ニューヨークの国連本部(島田峰隆撮影)

 1945年8月、米国は広島、長崎に人類初の原子爆弾を投下しました。46年1月に開かれた第1回国連総会は第1号決議で、原子兵器その他の大量殺りく兵器の廃絶を求め、米国も賛成しました。

 ところが米国と当時のソビエト連邦との対立が深まる中、49年9月にはソ連が原爆の保有を宣言。英国(52年10月)、フランス(60年2月)、中国(64年10月)もそれぞれ核保有国となります。

 米ソ両国が中心となる軍事同盟は、核兵器を戦略の柱にすえます。大量の核兵器を持つことで相手に攻撃をさせないという「核抑止力」論にもとづき、米ソ両国は膨大な数の核兵器を保有するようになります。

 こうした動きに、核兵器廃絶を求める国際的な声も上がります。54年3月に米国が太平洋ビキニ諸島で行った水爆実験で日本の漁船が被災したことをきっかけに、翌年8月に始まった原水爆禁止世界大会は一貫して、核戦争阻止、核兵器全面禁止・廃絶を掲げてきました。

 55年4月に開かれたアジア・アフリカ会議(バンドン会議)は核兵器廃絶を要求。これが非同盟運動に引き継がれ、国連総会でも核兵器の禁止・廃絶を求めます。

 核実験を地下だけに限定する部分的核実験禁止条約(63年10月)や核保有国を5大国に限定する核不拡散条約(NPT)(70年3月)が発効しましたが、核軍拡競争は続きました。70、80年代には米ソが保有する核兵器の削減で合意したこともありました。しかし、核兵器そのものを禁止し、廃絶するには至りません。

毎年の決議

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(写真)核兵器廃絶を求めてニューヨーク市内をパレードする日本からの参加者=2010年5月2日(行沢寛史撮影)

 95年5月、それまで25年の期限付きだったNPTが無期限に延長されたことを一つのきっかけに、核兵器廃絶を求める声が国際的に広がります。

 核兵器の違法性を認めるよう求める国際的な運動を受けて、国際司法裁判所は96年7月、核兵器の使用と脅威は一般的には国際法に違反するとの勧告的意見を示しました。それをふまえて国連総会では、核兵器禁止条約の実現を求める決議が毎年、採択されるようになります。

 2000年5月のNPT再検討会議は最終文書で、「自国の核戦力の完全廃絶の達成に対する核兵器国の明確な約束」を確認。同条約6条にもとづいて核5大国に核兵器廃絶を迫るきっかけとなります。

 オバマ米大統領は09年4月、プラハで行った演説で、「核兵器のない世界」の実現に「核兵器を使用した唯一の核保有国として、米国には行動すべき道義的責任がある」と表明。国際政治の場で核軍縮の機運も高まりましたが、米国をはじめ核保有国とその同盟国は「核抑止力」論にしがみつき、具体的な進展は見られません。

 そのような状況のもとで新たに、核兵器は非人道的な兵器だという側面から廃絶を追求することが国際政治で始まります。

 12年5月のNPT再検討会議第1回準備委員会で、16カ国が「核軍縮の人道的側面」という共同声明を発表。核兵器が「再び使われるなら、甚大な人道的被害は避けられない」と訴えました。同年10月の国連総会ではこの共同声明が34カ国に広がります。

 13年3月には、ノルウェー政府が「核兵器による人道的影響」国際会議を開催。同会議は14年2月にメキシコ、同年12月にオーストリアで続いて開かれ、共同声明に賛同する国は155カ国となりました。

138カ国賛成

 こうした流れを受け、第70回国連総会は15年12月、核兵器禁止条約を含む具体的な措置を議論する初めての作業部会を開くとした決議案を138カ国の賛成で採択。作業部会は今年3回開かれ、核兵器禁止条約の交渉を17年に開始するよう求めた報告をまとめ、今年の国連総会に提案しました。

 日本の被爆者は一連の国際会議の場に加わり、被爆の実相を語り、核兵器禁止・廃絶こそが被爆者の願いであることを訴えました。

 核兵器の全面禁止・廃絶を求める世界の粘り強い運動は、各国政府を動かし、ともに手を携えて、核保有国を追い詰めてきました。核兵器禁止条約が実現することで、保有国はいっそう孤立を深めることになります。


人類史上初めて「違法化」

■日本共産党 第27回大会決議案から

 核兵器禁止条約に、かりに最初は核保有国が参加しなかったとしても、国連加盟国の多数が参加して条約が締結されれば、核兵器は人類史上初めて「違法化」されることになる。あらゆる兵器のなかで最も残虐なこの兵器に「悪の烙印(らくいん)」をおすことになる。そうなれば、核保有国は、法的拘束は受けなくても、政治的・道義的拘束を受け、核兵器廃絶に向けて世界は新しい段階に入ることになるだろう。わが党は、「核兵器のない世界」への扉を開くこの画期的な動きを、心から歓迎する。

■核兵器禁止条約の交渉開始を求める 国連決議(骨子)

 第71回国連総会第1委員会が10月27日、採択した、核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議の骨子は次の通りです。

 一、国際機関や市民社会が、多国間核軍縮交渉を前進させるため、それに参加し、発言することには価値があると認識する。

 一、多国間核軍縮交渉を前進させることの普遍的目標は、核兵器のない世界を達成し維持することに変わりないと改めて強調する。

 一、核兵器を禁止し、完全廃絶につながるような法的拘束力のある措置(=核兵器禁止条約)について交渉するため、2017年に国連の会議を招集するよう決定する。

 一、すべての加盟国に同会議に参加するよう促す。

 一、同会議はニューヨークで3月27〜31日と6月15日〜7月7日に開き、国際機関や市民社会の代表が参加し、発言するよう決定する。

 一、同会議に参加する諸国に対し、核兵器を禁止し、完全廃絶につながるような法的拘束力のある措置をできるだけ速やかに成し遂げるよう最大の努力を払うよう呼び掛ける。

 一、同会議はその進展について第72回国連総会に報告書を提出し、総会は交渉の進展を評価してその先について判断を下すよう決定する。

世界の核弾頭数(2015年推定)

拡大図


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