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2016年11月24日(木)

リニアに3兆円 ずさん 公的資金投入

共産党論戦で浮き彫り

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 今国会で、JR東海によるリニア中央新幹線建設に3兆円の公的資金=財政投融資を投入する法案(鉄道建設・運輸施設整備支援機構法改定案)が成立しました。国会審議を通じて明らかになったことは―。(前田美咲)


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(写真)本村伸子議員=10月4日、衆院予算委

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(写真)山添拓議員=11月10日、参院国交委

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(写真)辰巳孝太郎議員=10月13日、参院予算委

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(写真)島津幸広議員=10月19日、衆院内閣委

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(写真)清水忠史議員=10月19日、衆院国交委

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(写真)武田良介議員=10月20日、参院環境委

 事業費9兆円超のリニア建設は、「今世紀最大規模」といわれます。財政投融資は、東京―大阪間の開業(2045年)を前倒しする名目で実施。名古屋間の開業(27年)後、経営体力を回復して8年後に大阪間に着工するのを、最大8年前倒しできるとしています。

償還の確実性は

 日本共産党国会議員団の質問でまず明らかになったのは、償還の確実性(返済されるか)が精査されていないことです。

 本村伸子議員の質問(10月4日、衆院予算委員会)に、麻生太郎財務相は、財投の計画策定に必要な財政制度審議会での2度の審議について「持ち回りで説明した」と答え、リニア事業の採算性や、工事費の妥当性、償還の確実性が精査されていないことが明らかになりました。

 政府は、収益力の高い東海道新幹線と一体で経営は安定し、償還に問題はないと説明。山添拓議員は、東海道新幹線の需要が、46年には現在の半分になるという交通政策審議会の予測を示し、説明に根拠がないことを明瞭にしました。(11月10日、参院国交委)

 「工事費は全額JR東海の自己負担」の事業認可の前提が崩れ、同社への経営支援になることも判明。辰巳孝太郎議員は10月13日の参院予算委で、長期固定低利で3兆円を融資し、30年後から年3千億円ずつ、10年で返済させる「破格の条件だ」と指摘。JR東海の経営支援にあたると追及しました。

 国交省は、財投金利を0・6%と仮定した場合のJR東海の「長期債務残高の推移」を公表。金利3%で民間から借り入れた場合と比べ、50年度に債務残高が約1兆円減ることになり、私的企業に対する公的資金を使った経営支援であることが明確になりました。

 “リニアによって「地方創生回廊」ができ、全国に成長力が波及する”との政府の宣伝については、島津幸広議員の質問で、経済効果の具体的な試算はないことが判明(10月19日、衆院内閣委)。島津氏は「スローガンだけの『未来への浪費』だ」と批判しました。

 衆院国交委での参考人質疑(同26日)でも、リニア推進の参考人が「リニア単体で地方創生の議論ができるかというと、必ずしもそうではない」「駅をつくれば自動的にその地域が振興していくということではない」と述べました。

生活環境破壊も

 清水忠史議員は、工期が伸びる可能性を指摘し「最大8年前倒しできなくても、JR東海におとがめはない」と批判。国交省は「工期延長の可能性がないとはいえない」と認めました。(10月19日、衆院国交委)

 リニア建設が沿線住民の生活や自然環境を壊す危険性も。武田良介議員は、建設残土置き場になる長野県大鹿村で1961年に大規模土砂災害が起きたことを示し、災害を再発させかねないと追及。山本公一環境相は「一般論で言えば憂慮すべきことだ」と答えました。(10月20日、参院環境委)

 衆参の参考人質疑では、リニア建設に疑問を呈してきた橋山禮治郎アラバマ大学名誉教授、川村晃生慶応大学名誉教授(ストップ・リニア!訴訟原告団長)が意見陳述。両氏はリニアの弊害を数多く指摘し「全ての問題を国会で議論していただきたい」(川村氏)と述べるなど、リニア事業そのものが問われていることを浮き彫りにしました。


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