2016年11月23日(水)
知りたい聞きたい
米国のドッド・フランク法とは?
米国のドッド・フランク法とはどのような法律でしょうか?(男性読者)
金融機関への規制強化
トランプ次期米大統領の共和党は選挙綱領(公約)でドッド・フランク法の廃止を掲げています。金融機関や金融取引に対する規制を強める法律です。正式名称はたいへん長いので略して「ウォール街改革・消費者保護法」と呼ばれます。ドッド・フランク法は、立法の中心になったバーニー・フランク下院金融委員長、クリス・ドッド上院銀行委員長(いずれも当時の役職)の名をとった通称です。
2008年、米国で起きた金融機関の破綻が海外に波及し、世界的な金融・経済危機に拡大しました(リーマン・ショック)。この教訓から、肥大化する金融を規制する必要性が強調されるようになり、09年7月、オバマ大統領が議会に法案を提案しました。議会で審議、修正が行われ、10年7月に大統領が署名して成立。ただちに施行されました。
破綻すれば影響が世界に及ぶ巨大金融機関への監視を強めたことが特徴です。そのために、財務長官を議長とする金融安定監視委員会を設置しました。
法の中核となる銀行の規制ルールは「ボルカー・ルール」と呼ばれます。ボルカー元連邦準備制度理事会(米国の中央銀行)議長が提唱しました。
そのほか、消費者金融保護局を新設して、消費者が金融機関にだまされたり、返済能力を超えた貸し付けを受けたりすることのないよう取り締まります。
巨大金融機関の抵抗は強く、同法が成立した後も、実施細則の適用除外規定をつくるなど、規制を弱める骨抜きが行われてきました。共和党は、金融業界の意に沿って、法そのものの廃止を狙っています。
(2016・11・23)