2016年11月23日(水)
トランプ氏「TPP離脱」
大統領就任当日 「2国間協定進める」
【ワシントン=遠藤誠二】ドナルド・トランプ次期米大統領は21日、来年1月20日の就任当日に提示する政策概要を説明したビデオを発表し、選挙時からの公約であった環太平洋連携協定(TPP)交渉からの撤退を正式に表明しました。TPP離脱に言及したのは、選挙後では初めてのことです。
トランプ氏は、TPPについて「米国民の産業と雇用を回復させるため、私は政権移行チームに対し、就任のその日に大統領令で実行する行動のリストを作成するように指示した」「貿易に関しては、わが国に災難をもたらす恐れのあるTPPから撤退する意向の通知を行う。その代わりに公平な2国間貿易協定を進める」と明言しました。
TPPをめぐっては、推進する安倍晋三首相が17日に訪米、トランプ氏と会談したばかり。TPPの主要メンバーである米国の次期大統領が明確に撤退の考えを明らかにし、2国間貿易協定にかじを切る姿勢を示したことで、数年間にわたり続いてきた多国間貿易交渉は破たんする可能性が現実味を帯びてきました。
トランプ氏はTPP以外に、シェールガスや石炭などエネルギー生産に対する規制の撤廃、米国人の雇用を損なうすべてのビザの悪用の調査、政府関係者のロビイスト転身の禁止なども表明しました。これらはTPP交渉撤退とともに、連邦議会の承認を必要としないものです。