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2016年11月22日(火)

主張

TPP国際協議

安倍首相は異常な固執やめよ

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 安倍晋三首相が、アメリカ・ニューヨークでのトランプ次期米大統領との会談や、ペルー・リマでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、環太平洋連携協定(TPP)参加12カ国の首脳会議など、一連の会合を重ねました。異常に目立つのは首相のTPP発効への固執です。アメリカのトランプ氏が大統領選中TPPへの批判を公言するなか、リマでの一連の会合でもアメリカ抜きの経済連携協定づくりを模索する発言などがあったといわれます。日本国内でもTPPに同意が得られていないのに、国際協議で発効に固執する首相の態度は異常です。

発効の見通し立たない

 「自由貿易こそ世界経済成長の源泉」「TPPは自由で公正なルールにもとづく経済圏を作り出す」―安倍首相は一連の協議などでこうした発言を重ねたと伝えられます。日本、アメリカなど12カ国が参加し、関税などを原則撤廃するTPPの発効を最大限もてはやしたものですが、相手側からの反応は決して芳しいものではありませんでした。

 アメリカのトランプ氏はもともとTPPが国内を「空洞化」し、雇用などを破壊するとして反対してきました。オバマ現大統領は署名したものの、トランプ氏は大統領に就任すれば「離脱」すると発言しており、安倍首相との会談でも、トランプ氏を説得しようという首相の思惑通りには進まなかったとみられています。TPPは日本だけでなくアメリカも批准しなければ発効せず、その見通しはたっていないのは明らかです。

 リマで開かれたAPEC首脳会議では、首脳宣言に「あらゆる形態の保護主義に対抗する」ことを盛り込んだものの、同時に開かれたTPP参加12カ国の首脳会議では発効に向けた国内手続きを進めるとしただけで、共同宣言も発表することができませんでした。

 参加国の中でも国内の手続きを見送っている国や、「アメリカ抜き」の協定を求める声も出ています。首脳会議で「このままではTPPが完全に死んでしまう」とまで言って各国に批准を求めた安倍首相の態度は、TPP参加国からも全面的に支持されていません。

 安倍首相をはじめ、日本政府にはオバマ米大統領が任期中の年内に開かれる米議会でTPPを批准してもらうという“期待”もありましたが、リマではオバマ氏との本格的な会談も開かれませんでした。トランプ氏が所属する共和党が多数になった米議会は年内批准に賛成しておらず、アメリカの批准頼みの安倍首相の計画はここでも破たんしています。

国内の同意抜きの暴走

 もともと国内ではTPPへの反対がますます広がっているのに、日本が率先して批准すれば発効を促進できるといい続けてきた安倍首相の態度は、国民の意思にも民主主義にも反しています。

 関税や非関税障壁を原則撤廃するTPPは、日本の農業だけでなく「食の安全」や医療、保険、雇用など国民の暮らしに全面的に影響します。多国籍大企業が投資先の国を訴えることができるISDS条項など、国の主権そのものを破壊してしまう危険があります。

 国民の利益にならない協定を国民の同意抜きに強行するのは許されません。まず審議中の参院で徹底審議のうえ、廃案にすべきです。


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