2016年11月18日(金)
「TPPは国の主権を侵す」
地方公聴会 懸念相次ぐ 参院特委
紙・井上両議員が質問
環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案を審議する参院TPP特別委員会は17日、北海道帯広市と茨城県水戸市で地方公聴会を開きました。公述人から「TPPは国の主権を侵す」との懸念や、慎重審議を求める意見が相次ぎました。日本共産党から帯広市で紙智子議員、水戸市で井上哲士議員が質問に立ちました。
帯広
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帯広市で公述人の東山寛北海道大学大学院准教授は、政府によるTPPの影響試算は不十分だと指摘しました。関税撤廃等で財源が喪失・減少し、国内農業保護政策が後退する懸念や、加工・運輸など関連産業も打撃を受け地域経済が脅かされる危険性を語りました。
紙氏は、米国大統領選に象徴される、TPP反対世論の国際的な広がりをどうみるか質問。東山氏は「多国間の巨大な自由貿易協定に待ったをかける流れが主流になっている」と述べました。「TPP断固反対」を掲げる全十勝地区農民連盟の西原正行委員長は「TPPがだめになっても、米国に2国間協定を迫られたらどう対応するのか」と不安を語り、慎重・徹底審議を求めました。
水戸
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水戸市での公聴会では、前日本医師会長の原中勝征氏がTPPによる薬価の高額化や共済・保険などの分野で国民の健康や権利が脅かされる危険性を指摘。「TPPは国の主権を侵すものだ」と批准に反対し、国会での徹底審議を求めました。
農民運動茨城県連合会の岡野忠会長は、JA(農協)茨城が明らかにした国内対策を講じなかった場合の影響額を示し、「(生産額で)全国第2位の農業県である茨城で、農林水産物合計で年720億5千万円の減益が予想されている」と指摘。「(農産物重要5項目を守るとした)国会決議に明らかに違反している。TPPは絶対に批准するべきではない」とのべました。
TPPに一定の理解を示した公述人からも、「(人件費が安いアジア諸国などの)新しい競合メーカーとの価格争いなど不安要素はある」(自動車用ゴム等メーカーの田口昌也氏)といった懸念の声が上がりました。