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2016年11月17日(木)

主張

TPP参議院審議

発効の見込みなく推進の異常

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 アメリカ大統領選挙で環太平洋連携協定(TPP)に反対しているトランプ氏が当選し、オバマ現大統領も任期中の批准を断念したと伝えられる中で、TPPの発効が見通せない事態になったというのが衆目の一致するところです。にもかかわらず安倍晋三政権は、情勢の変化を無視してTPP承認案と関連法案の衆院での採決を強行し、参院でも審議を急いでいます。発効が見通せないTPP承認案と関連法案の批准を世論に逆らって急ぐのは、文字通り「世界の物笑いになる」ものです。

急ぐ理由はまったくない

 TPPは日本、アメリカなど12カ国が参加する協定ですが、日本とともにアメリカが批准しなければ発効しない仕組みです。アメリカ大統領選の結果を受け、日本以外の参加国では協定への対応を見直すなどの動きが広がっています。安倍政権が期待していたオバマ政権下での批准がほぼなくなり、トランプ政権の発足は来年1月で、選挙中「離脱」とまで発言したトランプ氏の対応も不明な中で批准を急ぐ理由はありません。

 TPP承認案は衆院で十分な審議もないまま、自民、公明の与党によって強行されましたが、協定そのものの多国籍大企業優遇の本質や、農業、「食の安全」、医療、労働、地域経済などへの影響、投資家対国家紛争解決(ISDS)条項など国の主権を脅かす危険な内容はいよいよ明白です。参院での徹底審議で問題点を全面解明し、廃案をめざすことが重要です。

 安倍首相は、日本が「自由で公正な貿易ルールを牽引(けんいん)する意思を示せば、世界に広がる保護貿易主義を食い止める力になる」と答弁しますが、アメリカなど各国にTPP反対が広がっていることを理解しようとしないものです。アメリカ国民がTPP反対のトランプ氏を支持した大きな要因が、北米自由貿易協定(NAFTA)をはじめ、これまでの政権が推し進めた自由貿易一辺倒の政策が多国籍大企業の横暴を野放しにし、労働者の職場を奪い、中間層が激減するなど貧富の格差を拡大し、社会を荒廃させたことへの批判です。

 TPPは多国籍企業の横暴な利益追求をアジア・太平洋地域に広げるものです。参院本会議で日本共産党の紙智子議員が指摘したように「自由貿易をとるか保護主義をとるかという単純な話ではなく、多国籍企業の横暴から各国の国民の命と暮らしを守る」かどうかがいま問われているのです。

 日本のマスメディアの多くも、TPPをめぐる問題を「内向き」か、「自由化」かの二律背反でとらえがちですが、これまでの新自由主義、自由貿易一辺倒の政策が根底から問われていることから目をそらすべきではありません。富裕層への富の集積と貧困の拡大をもたらした新自由主義政策の徹底的な検証こそ求められています。

廃案と国民本位への転換

 TPPに反対してきた「TPPを批准させない!全国行動」は、衆院採決強行に断固抗議するとともに、参院での徹底審議を要求し、批准阻止、廃案の世論を全国に広げることを呼び掛けています。

 TPPの問題点をえぐり出すことは、各国の主権と国民の命と暮らしを守る、経済・貿易政策への転換のためにも重要です。安倍政権の暴走とのたたかいとも結んで力を尽くすことが急務です。


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