2016年11月16日(水)
きょうの潮流
米国の憲法は時代遅れ、日本国憲法は今も世界の最先端―。数年前、米法学者らが世界188カ国の憲法を比較・分析したところ、こんな結果が表れて話題になりました▼民主憲法の代表モデルとされてきた米国。しかし今や世界の流れとなっている基本権利の多くがなく、取り残されたまま。一方、日本の憲法は世界の主流になった人権の上位19項目までをすべて満たしています▼公布から70年。日本国憲法は手つかずの現役憲法の中では“最高齢”だといいます。古くて新しい。戦争放棄と戦力不保持をうたった9条をはじめ、時代を先取りした画期的な内容ですが、現実の社会や政治はどこまでそれを反映しているか▼安倍政権はきのう、南スーダンの国連平和維持活動に赴く自衛隊に駆け付け警護という新しい任務を付けることを閣議決定しました。武器を携えた自衛隊員が武装勢力との戦闘に巻き込まれるリアルな危険。9条との矛盾もさらにひろがります▼同じ日、日本共産党では来年の党大会に向けた決議案が提案されました。そこでは憲法違反の戦争法の廃止とともに、9条をもつ国として平和の対案が示されています。人道的危機への対応は非軍事の人道・民生支援を強化する方向に転換すると▼テロや貧困の根絶、難民支援や地球温暖化対策への積極的な関与。そして核兵器のない世界へ。不朽の先進性を示す憲法をもった国として今やるべきことは何か。世界を前に進ませる流れと、後退させる逆流が鮮やかに対比されました。