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2016年11月15日(火)

問題山積リニア建設

慶大名誉教授 川村晃生氏陳述

参院国交委 参考人質疑

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(写真)発言する川村晃生氏(慶大名誉教授)=10日、参院国交委

 10日の参院国土交通委員会参考人質疑で、「ストップ・リニア!訴訟原告団」団長の川村晃生慶大名誉教授が行った意見陳述の要旨は次の通りです。


 リニア新幹線には多くの疑問点があります。まず、東海道新幹線の3・5倍ものエネルギーを使います。事故が起きた時のリスクもあまり検討されていません。1000人の客を乗せたリニアが南アルプスを貫くトンネル内で事故を起こしたとき、病人を含む老若男女が安全に避難できるのか。青函トンネルでの事故では、乗客140人の避難に約6時間かかりました。

 採算性も問題です。人口減少を加味すれば、JR東海社長も言うように、リニアはおそらくペイしません。

 リニア実験線が通る山梨県笛吹市御坂町では、数キロのトンネルを掘っただけで異常な増水・出水や水枯れが起きました。南アルプスにトンネルを掘れば、もっと大規模な出水や水枯れが起き、住民生活と生態系に極めて深刻な事態をもたらすでしょう。

 全線の86%がトンネルのリニア工事では極めて多量の残土が出ます。処理場が決まっているのは発生残土の約25%にとどまります。

 こうした重要な問題点を抱えながら、リニアの環境影響評価(アセス)は不十分です。15キロの道路建設に7年かけた例もあるのに、リニアは286キロにわずか3年です。アセスに対する国交相意見では「環境保全に十分な配慮が必要」だとの指摘があります。

 JR東海に、住民の意見を聞く態度が希薄なのも問題です。同社説明会は、挙手者が残っていても時間になれば打ち切られ、再質問できません。国交相意見にある、「地域住民等に対し丁寧に説明すること」「データや情報を最大限公開し、透明性の確保に努めること」との指示とかけ離れた姿勢に、住民の不満が渦巻いています。

 こうした疑問や不安、不満がそっちのけにされ、インフラや経済効果の問題ばかりが議論されています。そうした議論は空疎でいびつで貧しいものです。

 全ての問題を国会で議論していただきたい。衆院の審議では、リニアは「やるかやらないかではない。やってこの国の将来をしっかりつくっていく」と言う議員がいました。これは議論の放棄です。国会は行政機関の追認機関ではありません。国会は国会としての議論をしていただきたいと思います。


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