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2016年11月12日(土)

TPP承認案・関連法案

参院本会議 紙議員の質問(要旨)

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 日本共産党の紙智子議員が11日の参院本会議で行った環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案に対する質問(要旨)は以下の通りです。


 TPP承認案と関連法案は、衆院の特別委員会で強行採決されました。国会審議を損なわせた最大の要因は山本有二農水相による2度にわたる暴言でしたが、政府・与党はその打開策を示さず、10日、衆院の強行突破に走りました。その暴挙に怒りをもって抗議します。

 しかも、その採決は、米大統領選においてトランプ氏の当選が決まったもとで行われました。トランプ氏はTPPについて「最悪の協定だ」「大統領の就任初日に離脱する」と表明してきました。共和党の議会指導部はTPPについて年内の議会には提出しないと表明しました。米国抜きにTPPは発効しません。他の参加国も、TPPの国内承認手続きを見合わせています。

 安倍内閣は、米国の批准を後押しするためとか、日本がTPPをリードするためなどと言い、国会審議を急いできましたが、いまや当のアメリカが離脱の方向に動いているのですから、審議を進める前提が崩れています。

 私たちはTPP承認案・関連法案を廃案にすべきという立場ですが、少なくとも政府・与党もトランプ政権のTPPに対する方針を見極めることを最優先すべきです。TPP反対はトランプ氏の個人的見解ではなく、クリントン候補も反対を表明していたように、米国民の多数の声です。

 多国籍企業の利益のために、農業が破壊され、食の安全、環境、雇用が脅かされるという懸念が増大しました。ISDS(投資家対国家紛争解決)による各国の経済主権の侵害も心配されています。

 総理や官房長官は、各国の自由貿易反対の動きに対し「保護主義」だとレッテルを貼ってきました。ところがいまの「自由貿易」は、多国籍企業のもうけを最大化するための「自由貿易」となっています。「自由貿易」をとるか「保護主義」をとるかではなく、多国籍企業の横暴から各国の国民の命とくらしを守る重大なたたかいになっているのです。

 だから、米国でも欧州でも日本でも大きな国民の反対運動が起きています。こうした自由貿易協定・TPPを成長戦略の要として掲げること自体おかしいのではないですか。

 その内容は、国民の暮らしと健康、地域経済に深刻な影響を与えるものです。

 農産物の「重要5項目」について関税撤廃の対象から「除外」する規定がありません。重要5項目のうち3割で関税が撤廃され、残り7割も「無傷」なものは無いことを政府は認めました。日本は輸出大国との間で、アクセス数量を増やすために再協議をすること、漸進的に関税を撤廃することを受け入れました。これでは、「重要農産物の聖域確保を優先し、それができない場合は撤退も辞さない」という衆参農林水産委員会の決議に反しているのは明らかです。

 農林漁業への影響試算の根拠は破綻しました。それを象徴するのが、SBS(売買同時入札)輸入米の不正取引です。農水省が「国産米に影響はない」と結論づけた調査はずさん極まりないものです。政府の影響試算はやり直すべきです。

 食の安全・安心に対する不安は募るばかりです。総理は、食の安全について「制度の変更は求められていない」と言います。しかし、問わなければならないのは、まともな説明もなく一貫して規制緩和を続けてきたことです。BSE(牛海綿状脳症)への懸念があるのに、輸入できる月齢を20カ月齢から30カ月齢に緩和。日本でポストハーベスト農薬は禁止されているのに、食品添加物に名前を変えて容認しています。こういう姿勢をとってきた政府に「食の安全」を守る毅然(きぜん)たる態度は望めません。

 医療・医薬品分野での影響は深刻です。薬価を決める審議過程に「透明性、公平性」の名で外国企業が口だしできる仕組みが作られました。米国製薬企業の言い値で高い薬価が押しつけられるのではありませんか。また、日米2国間の交換文書で、将来の保険医療制度について「協議する」ことを受け入れました。国民皆保険制度が壊され空洞化する危険がないと言い切れますか。

 外国企業に政府を訴える権利を与えるISDS条項は、国の主権が脅かされる重大な条項です。仲裁人は多国籍企業で働く弁護士が多く、判決は強制力を伴います。国民の命より、外国企業の投資が守られる結果になるのではありませんか。

 加えて重大なことは、TPP委員会と各種委員会が設置され、貿易や投資を拡大する仕組みとなっています。協定の3年以内の見直し、その後、遅くとも5年ごとに見直すとしています。政府は「国内の制度は変更を迫られない」と言っていますが、TPPの原則は関税と非関税障壁の撤廃であり、政府の言い分は何の保証にもならないのではありませんか。

 TPP協定には、経済主権と国民主権を侵害する内容が幾重にも盛り込まれています。各国の経済主権を尊重しながら民主的で秩序ある経済の発展をめざす平等・互恵の貿易と投資のルールづくりこそ、今、世界で求められている流れです。TPPをやめさせることがその新しい地平を開くものです。日本共産党は、そのために全力を挙げることを表明し質問を終わります。


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