2016年11月10日(木)
きょうの潮流
この国には、支配者層の政治にとことん嫌気がさし、本当の変革を求めている、そのために立ち上がってたたかうつもりがある、そういう何百万もの人たちがいる、ということを私たちは示した―▼米大統領選挙の民主党予備選でヒラリー・クリントン氏と競り合ったバーニー・サンダース氏が雑誌『世界』の最新号で語っています。格差や不平等の是正を求めた「民主的社会主義者」の主張は若者を中心に支持をひろげ、1300万票を集めました▼政治革命を呼びかけたサンダース氏は、ホワイトハウスのアウトサイダー(部外者)だと。第45代の米大統領に選ばれた共和党のドナルド・トランプ氏も政界のアウトサイダーを自負しています▼過激な発言や個人攻撃をくり返してきた不動産王が、なぜ大統領にまで上り詰めたのか。そこには貧富の拡大や生活への不安、陰りゆく大国の現状を変えられない従来の政治にたいする米国民の強い怒りと、変革の要求があります▼とはいえ、メキシコとの国境に壁をつくる、イスラム教徒の入国を禁じるといった人種差別や、女性をおとしめる暴言を平然と口にする人物の当選に、世界は驚きとともに戸惑いも。日本でも一時、株価が千円以上急落するなど世界経済の先行きも不透明です▼今年の米世論調査では民主、共和の二大政党の支持率は3割を切り、無党派層が増えています。ひろがる不満と矛盾。変革の道に諦めるなどという贅沢(ぜいたく)はない、というサンダース氏。その思いは世界共通でしょう。