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2016年11月9日(水)

主張

南スーダン新任務

派兵自衛隊に交戦の道開くな

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 安倍晋三政権は、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵する自衛隊部隊に対し、戦争法(安保法制)に基づく「駆け付け警護」などの新任務を付与しようと狙っています。20日から派兵が始まる第11次隊に付与するため、15日にも閣議決定する方針です。しかし、南スーダンでは、内戦状態の悪化、PKOの攻撃的性格への変質によって、停戦合意や中立性など自衛隊の「PKO参加5原則」は崩壊しています。自衛隊は直ちに撤退すべきであり、憲法9条が禁止する武力行使に踏み出す危険をますます高める新任務の付与など絶対に許されません。

「参加5原則」は完全崩壊

 南スーダンでは、内戦状態の悪化が深刻です。自衛隊が駐留する首都ジュバでは、7月に大統領派(政府軍)と副大統領(当時)派武装勢力との大規模な戦闘が発生し、数百人が死亡しました。

 国連が今月1日に公表した報告書によると、7月の戦闘では大砲や戦車、攻撃ヘリが総動員され、国連南スーダン派遣団(UNMISS)の施設にある建物182棟が銃撃や迫撃砲、ロケット砲によって被弾しました。複数の住民保護施設も攻撃を受け、20人以上の国内避難民を含め、少なくとも73人が犠牲になり、中国のPKO隊員2人も死亡しました。

 報告書は、7月の戦闘によって「キール大統領とマシャール前副大統領との不安定な和平合意は崩壊した」と明記しています。「PKO参加5原則」の紛争当事者間の「停戦合意」が完全に崩れているのは明らかです。

 「PKO参加5原則」の「中立性」も大きく揺らいでいます。

 かつてのPKOは、国連の内政不干渉・中立の原則を踏まえて、「停戦監視」を主要任務にしていました。しかし、今や、PKOの性格は大きく変貌し、「住民保護」のために武力行使も辞さない「交戦主体」となっています。

 「住民保護」を任務の筆頭に掲げるUNMISSは、その典型です。実際、7月の戦闘では、政府軍とUNMISS部隊との間でも一時交戦があったとの報道があります。さらに、国連安全保障理事会は8月、UNMISS強化のため「地域防護部隊」を創設し、住民などへの「攻撃準備」が認められる場合には「いかなる当事者」との交戦も認める決議を上げています。事実上の先制攻撃の権限を与え、南スーダン政府軍との交戦も想定する内容です。自衛隊のUNMISS派兵の継続が許されないのは明白です。

 前出の報告書によると、7月の戦闘では、政府軍兵士が国連職員や人道援助関係者らが滞在していたホテルを襲撃し、殺人や性的暴行などを働きました。その際、襲撃された宿泊者は、UNMISSに出動を要請しています。

「殺し、殺される」事態に

 自衛隊の「駆け付け警護」では、国連職員や人道援助関係者などを救助するため武器の使用が認められています。南スーダンの内戦状態の深刻化、攻撃的なPKOへの変質の下で、「駆け付け警護」の任務が付与されれば、政府軍や反政府勢力と交戦する危険は極めて大きく、取り返しのつかない状況に直結しかねません。

 違憲の武力行使によって自衛隊員が「殺し、殺される」事態は絶対に起こさせてはなりません。


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