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2016年11月5日(土)

主張

TPP「強行採決」

歴史的暴走を満身で糾弾する

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 長く国会を取材していても見たこともないような大暴走です。衆院本会議が午後1時から予定され開会をめぐって話し合いが行われている最中に、もともと日本共産党と民進党が開催に同意していなかった衆院TPP特別委員会を、塩谷立委員長の職権で、本会議の閉会後1時半からとしていた日程も無視して突然開会、共産、民進両党の抗議を押し切って審議を空回しし、反対した党の質問時間が過ぎたとして採決を強行したのです。国民の多数が反対する環太平洋連携協定(TPP)承認案などを強行するためだけの異常な議会制民主主義の破壊は許されません。

資格問われた山本農水相

 安倍晋三政権が今国会での成立に執念を燃やしてきたTPP承認案と関連法案は、今国会冒頭から、自民党の理事(辞任)や、担当閣僚の一人である山本有二農水相が「強行採決」を口にする異常な委員会運営が続いてきました。自民、公明の与党は、地方公聴会の日程を強行するなどのルール違反を繰り返したあげく、中央公聴会開催などの約束を踏みにじって採決を持ち出してきたのです。

 しかも1日までに衆院を通過させ、今国会の30日までの会期中に協定を自然承認させようとした策動が実現できなくなると、持ち出してきたのが休日前後の2日と4日に委員会と本会議での採決を強行する日程です。ところが、それをも困難にしたのが先に「強行採決」をけしかけて「陳謝」に追い込まれた山本氏の新たな発言です。

 山本氏は自ら「陳謝」し「取り消し」た「強行採決」発言を、「冗談」で「首になりそうになった」などと発言したのです。行政府の大臣が立法府に「強行採決」をけしかけるような発言が、「冗談」で済まされるわけはありません。度重なる暴言の山本氏に大臣としての資格も資質もないのは明らかであり、事態は安倍首相自身の任命責任にかかわります。野党が山本氏の発言に反発して辞任を求め、山本氏が出席する委員会の日程強行に反対したのは当然です。

 2日の委員会開催は見送り、委員長職権で開かれた4日午後の委員会の冒頭、山本氏は改めて発言を「陳謝」し「取り消し」ました。しかし、口を開けば問題発言を繰り返し、批判されれば口先だけで「陳謝」して見せるような人物に、政治を担う資格がないのは明らかです。相次ぐ問題発言については自民党内からも批判の声が上がるほどです。山本氏を農水相の地位にとどめるのは、文字通り国会と内閣への信頼にかかわります。

 しかも本会議の日程が決まっていたのに、それを押しのけて委員長職権で委員会を開催するなどほとんど聞いたことがありません。開会を強行した塩谷委員長など与党が、議会制民主主義の重大な破壊を強行した責任をあいまいにすることは許されません。

国民のために廃案こそ

 安倍政権がこれほど無理に無理を重ねてTPP承認案などを強行するのは、アメリカ大統領選の候補者がTPPに反対しているのを見越しオバマ政権が任期中に承認するよう督促するためです。それこそアメリカを向いたものです。

 アメリカのためではなく国民のことを考えるなら、TPPは徹底審議のうえ廃案にすべきです。山本農水相や塩谷委員長らの責任を明確にすることも不可欠です。


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