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2016年11月2日(水)

主張

TPPの衆院審議

議論尽くさぬ採決許されない

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 安倍晋三政権が今国会で成立を狙う環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案について、2日に衆院TPP特別委員会で採決し、休日明けの4日には衆院を通過させ、参院に送付する策動が急浮上しています。30日までの会期中に審議が終わらなくても、多少会期を延長すれば自然承認にも道が開けるという計算です。TPPはまだ本格的な審議が始まったばかりです。国民の反対世論を踏みにじって採決を急ぐのは断じて許されることではありません。

本格的な審議はこれから

 国会には連日、TPPによる農業をはじめ国民の暮らしの破壊を懸念する農業関係者や労働者、市民が詰めかけ、審議を見守っています。午前中冷たい雨が降った1日も、国会周辺では座り込みが続きました。本格的な審議が始まったばかりのTPP承認案と関連法案の特別委での審議を打ち切り、採決しようというのは、こうした切実な国民の声を裏切る以外の何物でもありません。

 衆院TPP特別委員会での審議はまさに「道半ば」で、4月の通常国会で自民、公明の与党が約束していたテーマ別の集中審議や地方公聴会の開催は不十分、中央公聴会は開かれてもいません。国会に提出された協定はTPPの合意文書の全体ではなく、それも誤訳やミスが相次いで見つかっています。審議に不可欠な交渉経過を示す資料も、「黒塗り」のまま公開されていません。

 そうした不十分な審議の中でも、コメや麦、牛肉・豚肉など重要農産物の輸入拡大だけでなく、「食の安全」や医療・保険、共済、雇用、知的財産などを脅かす問題点が次々明らかになっています。コメの輸入問題では現在のSBS米(売買同時入札米)の取引をめぐって輸入業者から卸業者に「調整金」が払われ、輸入米の価格が国産米より安く売られていたことが明らかになりました。TPPによる輸入拡大でも影響が懸念されているのに、それさえ安倍政権は調査しようとしません。こうした重大問題の審議を棚上げして衆院での採決を急ぐのは言語道断であり、国会軽視の極みです。

 特別委員会では安倍首相が先頭に立って、早期承認を主張してきました。しかしその理由は、「TPPを率先して実行するのが大切だ。無為に時を過ごせば、再交渉を求められる事態を引き寄せかねない」などというものです。国会での徹底した審議を「無為に時を過ごす」などと中傷するのは、議会制民主主義を踏みにじるものであり、首相と政権党の横暴の極みです。日本がTPPを批准しても、2人の大統領候補がTPPに反対しているアメリカなどが批准する保証さえないのは明らかです。

徹底審議して廃案にする

 安倍首相が答弁で、日本の批准が遅れれば、アメリカなどから「再交渉を求められる事態を引き寄せかねない」などといいだしているのは、TPPに反対する国民への脅しです。TPPがいったん合意しても再交渉などでさらに譲歩が求められる危険なものであるのを浮き彫りにしているというほかなく、そんな危険があるなら一層徹底審議が不可欠です。

 世論調査でも採決支持は少数です。TPPは批准を急ぐのではなく、国会で徹底審議して廃案にすべきです。いまがその正念場です。


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