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2016年11月1日(火)

主張

文化庁京都移転

計画の抜本的再検討が必要だ

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 もうすぐ「文化の日」(3日)です。日本国憲法公布(1946年)の日にちなんで「自由と平和を愛し、文化をすすめる」日として48年に制定されました。

 芸術・文化を国民がつくり、楽しむことを支援するのは国の責務です。ところが日本の文化予算は、国の予算の0・11%で諸外国に比べてもあまりに低く貧困な状態が続いています。そんな中で、文化行政を担当する文化庁を、東京から京都へ移転させる動きが行政主導で強まっていることに、多くの関係者から危惧する声が上がっています。

必要性も示せぬままに

 文化庁を移転させる計画の発端は、2014年、安倍晋三政権が「ひと・まち・しごと創生総合戦略」で、「地方創生に資する」政府関係機関を「地方からの提案を受ける形で地方への移転を進める」と決定したことです。

 当初、京都府・京都市から誘致提案を受けた段階で、文化庁自身は、移転による一定の機能低下や移転費用への懸念を述べていました。しかし、「ひと・まち・しごと創生本部」は今年3月、「政府関係機関移転基本方針」の中で、文化庁を京都に「全面的に移転する」と決定しました。具体的な移転場所も決まらないまま、政府は4月に「文化庁移転協議会」を発足させ、東京と京都とをつないだテレビ会議などの実証実験を進めてきました。

 同協議会は8月、「文化庁移転の概要について」を発表しましたが、そこでは「移転によってこれまで以上に国民全体へのメリットがあるといえるように実施する必要がある」と述べるだけで、移転の必要性について、説得力ある論拠を示していません。

 この「概要」が発表されたのをうけて、芸術・文化団体が9月、懸念や反対を次々と表明しました。そのなかでは、京都への移転によって関係省庁との連携や政策調整が不便になり、行政機能の低下を招くこと、芸術団体の声が届きにくくなること、移転費用やその後の経費がかさみ、本来の文化行政に予算的にもしわ寄せがいく可能性などが指摘されています。

 10月には、41の芸術団体で構成する芸術家会議が「意見聴取の場」を求める要望書を国会議員に提出しています。

 前文化庁長官の青柳正規氏も、「(文化庁)予算は諸外国に比べて大幅に少ない約1千億円」「この限られた財源やマンパワーを役所の引っ越しに使うべきなのだろうか。庁内ではすでに、移転準備に人を充てた分、他の部署の人員が減っていると聞く。本来業務の文化施策に影響が出ないか心配だ」(「朝日」10月15日付)と述べ、「計画に反対」であることを表明しています。

地元負担も不明確

 こうした意見や疑問に答えることもなく、政府は、17年度には、先行移転として京都に「地域文化創生本部(仮称)」を置いて業務を開始し、18年度には、文部科学省設置法の改正を国会に提出し、全面移転をめざすとしています。京都府と京都市の財政負担もいまだ明確ではありません。

 日本共産党は、国民や関係者の理解を得ないまま、スケジュール先にありきで全面移転を推進することには反対です。文化庁の京都移転は抜本的に再検討すべきです。


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