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2016年10月31日(月)

NHK日曜討論 小池政策委員長の発言

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 日本共産党の小池晃政策委員長(書記局長)は30日のNHK番組「日曜討論」に出演し、環太平洋連携協定(TPP)の承認案や若者の過労自殺問題、「年金カット」法案について、与野党の政策責任者と議論しました。


TPP承認案

議論の前提欠く採決はとんでもない

 今国会の最大の焦点となっているTPP承認案の衆院での審議状況をめぐり、与党側は「煮詰まってきている」(自民党・田村憲久政調会長代理)、「採決の提案をする時期に近づいてきている」(公明党・上田勇政調会長代理)と早期の採決を求めました。公明・上田氏は輸入米(SBS米)の価格偽装問題について「TPP全体からみれば核心的な問題ではない」と強弁しました。

 小池氏はTPP審議の状況について次のように指摘しました。

 小池 やはり議論の前提が欠けているといわざるをえません。「国民に丁寧に説明する」といいながら、協定文書の和訳8320ページのうち2328ページしか訳されていない。しかも訳が間違っている。提出した資料は黒塗りだ。直接交渉に当たった甘利明大臣(当時)は国会で説明しない。

 先ほど輸入米の偽装問題は「核心ではない」という話だったが、核心だ。いくら輸入米が入っても「国産米の価格に影響がない」というのが農水省の説明だった。「日本農業新聞」の調査では、すべての商社が輸入米は国産米より2割安くなっていると回答している。

 結局、政府の今までの「米には影響が出ません」という説明の根幹が崩れるわけだから、きちっと審議しなければいけない。まさにその問題も含め、内容の議論が始まったばかりだ。

 輸入米問題については、民進党の大串博志政調会長も「核心だ」と問題視しました。司会の島田敏男解説委員が「政府の言っていることがかなり違うんじゃないか」と説明を求め、自民・田村氏は「全体からいうとごくごくわずかの話だ」と釈明するだけ。「そろそろタイムリミットが近づいてきている」などと今週中の強行採決を示唆しました。

 小池氏は、大串氏とともに徹底審議を求めました。

 小池 議論すべき問題はいろいろあるが、一つは農産物の関税撤廃の問題。(関税撤廃の)「聖域」とされたところで、3割で関税撤廃、7割で関税率引き下げですから、これは明らかに国会決議違反です。

 二つ目に、「非関税障壁の撤廃」ということで、多国籍企業の利益のために、食の安全、医療と薬価、金融・保険、政府調達、知的財産、あらゆる分野に関わり、いったん規制緩和したら元に戻れないという仕組みです。

 それからISDS(投資家対国家紛争解決)条項といって、外国の多国籍企業が投資先の国や自治体を訴えることができる。巨額の賠償を求めることができる。

 こういった問題について徹底的に審議すべきであって、いまこれで採決するというのはとんでもない話だと思います。

若者の過労自殺

過労死増やす「残業代ゼロ」法案は撤回を

 広告代理店大手の電通で女性社員が過労自殺した問題を受け、安倍政権の検討する長時間労働の規制がテーマに。自民・田村氏は「とにかく徹底的に長時間労働とハラスメントに対応していかなければならない」と述べました。

 小池氏は、電通に対する政府の姿勢をめぐり次のように指摘しました。

 小池 本当に痛ましい事件です。

 残業時間上限は大臣告示で月45時間。労働基準法36条に基づく電通(労使)の「三六協定」の特別条項では月70時間。ところが(問題の女性社員は)月100時間を超えていたわけですね。うつ病と診断される直前は月130時間だというんです。これは明らかに労働基準法違反ですよ。

 こういったことが見逃されている。それで(長時間残業が)横行している。電通では1991年にも過労自殺が起こり、最高裁で労災認定されたわけです。

 こともあろうに、厚労省はこの電通を、時間短縮の優良企業として、新“くるみんマーク”というのを認定しているんです。あきれる話です。ちなみに、2013年に認定したときの大臣は(自民党の)田村さんじゃないかなと思うんです。

 こういう政府の姿勢があるから、過労自殺が後を絶たないんだと思いますよ。徹底的に見直すべきです。

 小池氏の追及を受け、自民・田村氏は「反省する」と表明。小池氏は、長時間労働規制と矛盾した措置を狙う安倍政権の姿勢を批判しました。

 小池 労働基準法に「残業は年間360時間以内、月45時間以内」と明記する。「三六協定」の特別条項(残業時間の上限拡大)は廃止する。これは待ったなしでやるべきです。

 同時に、政府は「残業代ゼロ」法案を出しているわけです。

 関西電力でも過労自殺がありました。この方は課長職で、原発再稼働に向けた作業で残業200時間の月もあった。過労死基準をはるかに超えるわけです。

 労働時間管理からそもそもはずされてしまう。残業代の対象にもされない方です。いま出している法案は、まさにそういう対象を広げようという法案です。それから裁量労働制の拡大もあるわけです。

 一方で(長時間労働の)上限規制をしながら、一方で規制のかからない労働者を増やしていくことをすれば、ますます過労死・過労自殺が増えるばかりだと思うんですね。

 労働者の健康を本気で考えるのであれば、上限規制は当然やるべきだし、「残業代ゼロ」法案は撤回すべきです。国会に出しているわけですが、もうやらないとはっきりいうべきじゃないですか。

 自民・田村氏は「『残業代ゼロ』法案ではない」と釈明しました。

 長時間労働の規制をめぐって、EU(欧州連合)が導入している「勤務間インターバル規制」も議論に。小池氏は次のように提案しました。

 小池 EU指令では、24時間につき最低連続11時間の休息をとるとなっている。これはやるべきだし、私ども野党が共同で出している法案には入っていますから、ぜひ成立させていただきたい。

 もう一点は「サービス残業」の問題です。私はやはりペナルティーが必要だと思う。私どもが提案している制度は、残業代を倍にして返す制度です。

 民進・大串氏も、野党共同提出法案の成立は「待ったなしだ」と与野党を超えた長時間労働の規制策を呼びかけました。自民・田村氏は「われわれも(案を)考えている」と述べました。

年金カット法案

消費税増税と年金削減のダブルパンチに

 政府が国会提出している「年金カット」法案について、司会の島田氏から「そもそもなぜ改定が必要か」と問われ、自民・田村氏はリーマン・ショック(08年)の影響による穴を埋める制度で、年金が削減される事態は想定できないと強調しました。小池氏は次のように反論しました。

 小池 物価がいくら上がっても賃金がマイナスになれば、年金を下げるという中身(の法案)です。これはまさに負のスパイラルだと思います。

 先ほど、田村さんは「こういう事態は想定できない」といわれたけど、想定できると思います。

 2019年に消費税を上げようとしています。この法案は2021年から発動する。例えば消費税増税で物価が上がっても、賃金が下がれば、年金が下がっていくわけです。法案には、「マクロ経済スライド」を強化して、過去の分までキャリーオーバー(繰り越し)で(年金を)下げるという制度もあります。

 結局、消費税増税のときに、増税による物価上昇は反映されなくなる上、増税による実質賃金の低下でさらに年金が下がる。消費税増税と年金削減のダブルパンチになるということになりませんか。

 自民・田村氏は「『転ばぬ先のつえ』ということで導入する」と釈明。小池氏は持続可能な年金制度の抜本的対案を示しました。

 小池 これは明らかに年金カット(法案)です。「経済のことを考える」というけれども、公的年金給付50兆円で1%カットしても5000億円、2%で1兆円(の削減)ですよ。地域経済に大打撃になるわけです。

 私は、消費税頼みの議論をやっている限り、ここから抜け出せないと思います。これはきっぱり決別すべきです。財源は「応能負担」、能力に応じた負担を求めるという原則で税金の集め方を変え、所得税・法人税の見直しでつくっていくべきだ。働き方も変えて、正規雇用を増やし、税や保険料を払える人を増やしていく。さらに産業政策も変えて、中小企業や農業支援を進める。こうしたことと一体に社会保障の財源をつくっていく道を進むべきだと思います。


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