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2016年10月26日(水)

きょうの潮流

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 82歳にして堂々たる現役だった平幹二朗さんの突然の訃報が駆け巡りました。舞台で常にトップに立ち続け、蜷川幸雄さん演出の「王女メディア」「近松心中物語」と代表作は数えきれません▼テレビでは時代劇「三匹の侍」(1963〜69年)や大河ドラマ「樅(もみ)ノ木は残った」(70年)の主演がありますが、脇役も引き受ける、しなやかさを持ち合わせていました。ちょうど民放ドラマ「カインとアベル」に出演中でした▼重厚、躍動感。平さんの演技への評価は尽きませんが、いったん舞台を降りると物静かな横顔を見せる人でもありました。自らを語る言葉は素朴で、誇張はありません▼映画や演劇への夢を持った青年時代。俳優座に入ったころ、仲間とマージャンに興じていた傍らで、師の千田是也さんが勉強している姿を目の当たりにしました。「功なり名を遂げても、なお学ばれる姿に感動した」といいます▼60年の芸歴の中で、もう一つ平さんが気持ちを込めてきたことがあります。広島出身。自身は疎開しましたが、市内に残った母親が被爆しました。「あの時代を知っている人間は、自分の経てきたことを切実な思いで伝えなければと思います」。非戦を選ぶ演劇人の会の朗読にも参加しています▼年齢を重ね葛藤する中でたどり着いたのは、老いても心が生きいきとした役を探すこと。20年前に「幹の会」を立ち上げました。各地を回りシェークスピアの全作品を公演することを目指し、現在12作を上演。まだまだ見せてほしかった。


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