2016年10月26日(水)
南スーダンから撤退を
政府は派兵5カ月延長 「駆け付け警護」付与狙う
|
政府は25日の閣議で、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)への陸上自衛隊部隊の派兵について、現行計画で期限切れとなる今月末から5カ月間延長し、2017年3月末までとすることを決定しました。政府は3月施行の安保法制―戦争法に基づき、11月にも、「駆け付け警護」や「宿営地共同防護」といった新任務付与を判断する見通しです。
陸自派兵の延長は、国連が南スーダン派遣団(UNMISS)の活動期間を12月15日まで延ばしたことに連動した措置。陸自第9師団(青森市)を中心とする部隊が派兵されます。同部隊は岩手山演習場(岩手県)で新任務を含む訓練を行っています。菅義偉官房長官は25日午前の記者会見で、交代時期について「11月下旬以降」との見通しを示しました。
解説
参加5原則 既に崩壊
「PKO5原則は維持されている」。稲田朋美防衛相は25日の記者会見でこう述べ、南スーダンでのPKO(国連平和維持活動)派兵延長を正当化しました。政府はこの期間中、「駆け付け警護」などの新任務付与を狙っています。
しかし、南スーダンでは7月に大統領派・副大統領派の激しい戦闘が、自衛隊が駐留する首都ジュバを含む全土で発生して数百人が死亡。その後も各地で武力衝突が続いています。国外に逃亡したマシャール前副大統領は「和平合意は完全に崩壊した」(NHK報道)と公言。政府軍との戦闘のかまえを崩していません。
「紛争当事者間の停戦合意」などのPKO参加5原則は完全に崩れているのが実態です。
稲田氏は、マシャール派のタバン・デン氏が現在の副大統領に就任していることをもって「新たな紛争当事者は出現していない」といいます。しかし、タバン・デン氏が同派から離脱して、政府側についたのが実態です。
いま、政府がすべきは派兵延長ではなく、南スーダンからの即時撤退と、憲法9条に基づいた民生支援の抜本的強化です。新任務の付与は論外です。
(竹下岳)