2016年10月25日(火)
きょうの潮流
パラダイス(楽園)―米国家安全保障局(NSA)が内部でそう呼ぶ島があります。沖縄です▼NSAは米国最大の諜報(ちょうほう)機関。その内部紙「SID(信号諜報局)トゥデイ」(2003年6月19日付)に書かれていました。元米中央情報局(CIA)職員のスノーデン氏がニュースサイト「インターセプト」を通じて公開しています▼「SIDトゥデイ」の記事の書き出しは「ヤシの木が暖かい風に揺れ…」。ハイビスカスやブーゲンビリアの花が咲く特有の風土を紹介。ただ、それだけが「楽園」の理由ではありません▼NSAが盗聴、傍受した情報を利用する機関の一つは米軍です。その米兵の数が沖縄では2万6千人以上で、「米国外で常駐している戦闘部隊の中で最大」「家族や米国政府職員を加えた合計は5万1千人以上!」。一方、米兵事件は「大げさにとりあげられる」と不満も。米軍内にある「占領意識」がうかがえます▼同紙によると沖縄は諜報活動の「最前線」。同年12月15日付によると、当時海兵隊キャンプ・ハンセンに建設中だった傍受施設「キャメラス」では「最新技術」の傍受設備が備えられるとも▼同施設はもともと沖縄県読谷村にありました。楚辺通信所、通称「象のオリ」。1996年の日米合意で撤去されましたが、「移設」が条件でした。普天間基地に代わる辺野古新基地も高江へのオスプレイ着陸帯建設もこの合意が原点。基地の「県内たらい回し」が米軍への最新鋭基地の提供にほかならないことを示しています。