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2016年10月24日(月)

主張

マイナンバー1年

国民には不要で危険な制度だ

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 日本に住民票を持つ人全員に12桁の番号を割り振り、税や社会保障の情報を国が管理するマイナンバー制度が施行されて10月で1年です。昨年の今ごろ全世帯への番号通知の郵送などをめぐり世間をにぎわせましたが、多くの人はマイナンバーを日常的に使う機会はほとんどなく、必要性を感じていません。むしろ情報の漏えいなどへの懸念は強く「個人番号カード」の普及も広がりません。そのため安倍晋三政権は国民がマイナンバーを使わざるをえない仕組みを広げることに躍起となっています。プライバシーを危うくする制度の推進は国民の願いに反します。

170万世帯まだ届かず

 赤ちゃんからお年寄り、在日外国人も含め国内に住民登録する人全てを対象にするマイナンバー制度は、昨年10月に番号を通知する郵送作業が始まりました。しかし対象となる5900万世帯余のうち約170万世帯は、いまだに通知を受け取れていません。何らかの理由で住民登録している住所を不在にしている事情によるものです。170万世帯といえば四国4県の世帯数に匹敵します。動きだして1年を経てもこれだけの規模の人が自分の番号を知らされず置き去りになっていること自体、制度の深刻な矛盾を示しています。

 今年1月から、希望者に対してマイナンバーなどを記したプラスチック製の「個人番号カード」の交付が市区町村で始まりましたが、こちらもトラブルの連続です。カード発行を全国的に管理するシステムがたびたび停止し、発行に重大な支障が生じました。カードを受け取りにきた人に発行できない事態が続出し自治体窓口に混乱を引き起こしました。政府は、トラブルは解消しているといいますが、多くの税金を投じたシステムが開始早々不調に陥ったことは、個人情報を扱う制度の安全性と信頼性を根本から疑わせるものです。

 そもそも「個人番号カード」は身分証明の他に今のところ使い道はありません。むしろマイナンバー、顔写真、生年月日、ICチップが一体となったカードを持ち歩くことの方が紛失や盗難のリスクを高めます。国民も利便性や必要性を感じないため、カードの申請も1千万件余りで頭打ちになり、政府の目標の3分の1程度です。

 安倍政権はカード普及のために、コンビニで住民票が取れるとか、保育所入所の手続きに使えるとか、売り込みに懸命となっています。カードがないと必要な証明が取得できなくなるかのような宣伝までしています。買い物のポイントや図書館の貸し出し、健康保険証などとの連携も検討しています。利用対象を広げれば広げるほど個人情報は危険にさらされます。普及にばかり力を入れる政府のやり方は、あまりにも無責任です。

徹底検証で見直し、中止へ

 これから年末調整などで勤務先からマイナンバーの提示を求められる場合も増えるため、新たなトラブルの発生も心配されます。

 マイナンバー制度は徴税強化と社会保障給付抑制を目的に、国が国民の情報を厳格に掌握することを狙った仕組みです。国民を監視する手段にされかねないことへの不安の声も強まっています。

 国民にとって不必要で危険な仕組みを続けることは問題です。運用状況を徹底検証し、制度見直し、中止へ踏み出すことが必要です。


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