2016年10月23日(日)
総選挙に向け、共闘発展へ 三つの課題を提起
全国革新懇シンポ 志位委員長が強調
日本共産党の志位和夫委員長は22日、全国革新懇のシンポジウム「市民と野党の共闘の発展をめざす懇談会」で、市民と野党の共闘の到達点と課題について発言しました。
市民と野党の共闘の源流
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「市民と野党の共闘はどうやって発展し、それを進めた力はどこにあったか」。こう語りかけた志位氏は「直接の源流は2011年の3月11日(の福島第1原発事故)以降、さまざまな分野で、切実な一致点にもとづく共同―『一点共闘』が広がったところにあったと思います」と強調しました。
12年3月から始まった原発ゼロをめざす毎週金曜日の官邸前行動は、「普通の人がだれでも安心して参加し、声をあげることができる場」となりました。志位氏は「国民一人ひとりが、主権者として、自覚的に声をあげ、立ち上がる、新しい市民運動が始まりました」と強調しました。
さらに14年の沖縄で、新基地建設反対の「オール沖縄」のたたかいが保守・革新の枠組みを超えて、広大な連帯がつくられました。1月の名護市長選、11月の県知事選、そして12月の総選挙で連続勝利。志位氏は15年の年頭のあいさつで「沖縄で起こったことは、全国で起こりうるという予感がする」と述べていたことを紹介しました。
戦争法反対のたたかいが野党を変えた
実際、15年の安保法制=戦争法に反対するたたかいのなかで、戦後かつてない新しい市民運動が発展し、野党を大きく変えました。
当時の5野党(共産、民主、維新、社民、生活)が法案阻止で一致してたたかい、国会の節々で6回にわたって5野党党首会談が開かれ、最終局面では「安倍内閣不信任決議案」を5野党共同で提出しました。
そして同年9月19日に法案が強行されると、日本共産党は「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」を提唱。志位氏は「『野党は共闘』という声に応えての提案でした」と述べつつ、なかなか進まなかったと振り返るとともに、「ここでも野党の背中を押したのが市民の運動でした」と強調しました。
12月に「市民連合」が結成され、16年2月19日の5野党党首会談で、安保法制廃止・集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回、安倍政権打倒を目指し、国政選挙などで協力することで合意。参院選の32の1人区で野党統一候補を立て、11選挙区で勝利しました。志位氏は「最初のチャレンジとしては大きな成果をあげました。何よりも、他の野党、市民の方々との連帯と信頼ができたのが今後につながる一番の財産となりました」と強調しました。
新潟知事選二つの教訓
さらに、10月16日に投開票された新潟県知事選では、野党と市民の統一候補・米山隆一氏が自公推薦候補を6万3000票の大差をつけて圧勝しました。
知事選では、「原発再稼働は認めない」という「大義の旗」が掲げられました。そして、3党(共産、自由、社民)と市民団体を中心に、互いに信頼し、互いに敬意をもち、心を一つにしてたたかう共闘=「本気の共闘」が実現しました。
米山氏は「共闘はお互い信頼していることが重要で、それは周囲に絶対伝わるものだと思った」と述べています。
志位氏は「(野党共闘は)何倍もの力を発揮する、本気度が県民に伝わった」と述べ、無党派層の7割、自民支持層の3割を獲得したことを報告。「『大義の旗』『本気の共闘』が今後に生かすべき大きな教訓だと思います」と強調し、「共闘をつくりだし、発展させた力は国民のたたかいにあった。今後も、この共闘を発展させる力は国民のたたかいにある。力をあわせて前途を開きましょう」と呼びかけました。
魅力ある共通政策を
さらに、志位氏は「総選挙に向けてこの共闘をどうやって発展させるか」と話をすすめました。
9月23日、民進党新執行部のもとで野党党首会談が開かれ、総選挙も「できる限りの協力」をしていくことを確認し、書記局長・幹事長の間で、具体化のための協議を開始することで合意。志位氏は「新しい課題が三つあります」と強調しました。
第1は、豊かで魅力ある共通公約をつくることです。
志位氏は、これまでの到達点として、安倍政権に対決する政治的内容として(1)安保法制の廃止、立憲主義の回復(2)アベノミクスによる国民生活破壊、格差と貧困を是正する(3)環太平洋連携協定(TPP)や沖縄問題など、国民の声に耳を傾けない強権政治を許さない(4)安倍政権のもとでの憲法改悪に反対する―の4点を確認していることを指摘。野党が共同提出した15本の議員立法の内容、「市民連合」との政策協定で確認された19項目も共通公約になっているものの、「参院選では、政策協議を丁寧に行う時間は率直にいってありませんでした」として、「総選挙に向けて、本気の政策協議をやる必要があります」と強調しました。
志位氏は「一致点を最大限に確認し、魅力ある政策パッケージを示したい。前向きのメッセージが伝わるものにしたい。原発問題でも前向きの合意をえたい」と述べました。
総選挙では心一つに相互協力を
第2は、本格的な相互協力・相互支援を実現することです。
参院選1人区では、日本共産党は本格的な相互協力・相互支援は求めませんでした。志位氏は「まずは野党共闘を前進の軌道に乗せる。実践し、体験をつむ。そのためには、候補者のほとんどを降ろしてでも野党共闘を実現させることを優先しました」と報告。「しかし、本来、選挙協力は相互的なものです」と強調しました。
志位氏は「総選挙では、相互協力・相互支援がどうしても必要です。そうでなくては本当の力はでません。総選挙では、日本共産党の候補者を一方的に降ろすということは、まったく考えていないということをはっきり述べておきたい」と強調。「野党各党が、互いに信頼し、互いに敬意をもち、互いに譲るところは譲り、心一つにたたかう、『本気の共闘』を実現してこそ、選挙に勝ち、安倍政権を倒すことができます」と訴えました。
政権問題も当面する一致点で
第3は、政権問題で前向きの合意をつくることです。
民進党のなかからは「綱領、理念、政策の違うものとは政権をともにできない」という声があがっていますが、綱領、理念、政策が同じなら同じ政党になります。
志位氏は「綱領や将来像が違っても、国民の切実な願いに応え、当面する一致点で協力する―これが政党間の共闘の当たり前の姿ではないでしょうか」と問いかけました。
「そのことは、選挙協力だけでなく、野党連立政権も同じことです」として、「わが党は、こうした立場から『国民連合政府』を提唱しています。これに賛成できないなら、どういう政権構想を考えているのか、(民進党は)ぜひ示してほしい」と提起し、「真剣な話し合いで前向きの合意をつくりたい」と述べました。
誠実な共闘を積み重ねて発展を
最後に志位氏は、「この共闘は、多くの未熟な点、多くの課題を抱えています。曲折や困難も予想されます」としながらも、「大局でみれば、逆戻りすることは決してありません」と強調。「ともにたたかうなかで、私たちも変わった。他の野党も変わったと思います。一緒にたたかうなかで、お互いに前向きに変わる。ここに、このたたかいの妙味があります」として、「市民運動と力をあわせ、誠実な共闘を積み重ねるなら、市民と野党の共闘は必ず発展します。それが私たちの確信であり、そのために力をつくしたい」と決意を表明しました。