2016年10月22日(土)
きょうの潮流
「内地人は殿様にて土人は下僕たり、内地人は横柄にて土人は謙遜なり…内地人は富み土人は貧し」。これは明治政府の官吏が記した『沖縄見聞雑誌』の一部分です。力ずくで琉球を従わせた当時の様子がわかります▼派遣された琉球処分官の公文書からも明治政府の代表が現地の人びとを「土人」と称していたことが明らかに。元県知事の大田昌秀さんが著書『沖縄差別と平和憲法』のなかで紹介しています▼沖縄における外来者と地元民のいびつなありさま。大田さんは、薩摩の琉球侵略から今日までほとんど一貫してみられる現象だと。あたかもそれが米軍基地の建設現場で現れました▼「どこつかんどんじゃ、ぼけ。土人が」。大阪府警から派遣された機動隊員が高江のヘリパッド建設に抗議する市民に浴びせました。別の隊員は「シナ人」とも。ともに20代。どこまで意味を理解して口にしたかは不明ですが、国家権力の側に立つ警察に差別意識が蔓延(まんえん)しているとしたら恐ろしい▼侵略し、支配する側がもつ根深い植民地意識と差別意識を助長するような発言も。大阪府の松井一郎知事は「表現が不適切だとしても大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様」とツイッターに投稿。菅官房長官も「全くないと思う」と、差別意識を否定しました▼沖縄の歴史や現状に少しでも心を寄せれば決して出てこない言葉。それは有無を言わせず自分たちのやり方を押し付ける征服者の態度と同じです。