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2016年10月20日(木)

主張

憲法審査会の再開

「9条改憲」自民の執念許さず

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 9条をはじめ憲法「改正」に向けた自民党の動きが本格化しています。参院選後、体制を一新した自民党の憲法改正推進本部は初会合を開き、2012年に同党が決めた「憲法改正草案」はそのまま国会の憲法審査会に提案することはしないものの、「歴史的公式文書」であると確認しました。「撤回」要求を拒否したものです。同時に自民党は改憲案を検討する憲法審査会の再開を目指し、昨年6月以来開かれていなかった衆院の審査会を来週にも再開することを画策しています。自民党の改憲への執念を許さないたたかいが重要です。

国民を「だまし討ち」して

 参院選中は改憲に触れることを極力避けてきた安倍晋三首相は、参院選が終わった途端、「いかにわが党の案をベースにしながら3分の2を構築していくか、これがまさに政治の技術」だと言い出し、臨時国会の所信表明演説でも各党に改憲のための議論を呼びかけました。国民を「だまし討ち」して国会の憲法審査会での審議を急ぎ、衆参両院の3分の2以上の賛成を獲得して国民投票にかける改憲案を発議していくねらいです。

 首相は国会で自民党の改憲案の中身について質問されても詳しい説明はせず、ひたすら自民党は案を出しているのだから各党も対案をなどと議論を挑発する姿勢です。憲法改正原案は衆参の憲法審査会で過半数の賛成で議決、本会議で3分の2以上の賛成で議決し、発議する仕組みで、自民党が数を頼んで改憲案を押し通そうとしているのは明らかです。

 自民党の憲法改正推進本部が、同党の憲法改正草案をそのまま国会に提出することはしないが「歴史的公式文書」だと、撤回を認めなかったのは重大です。

 自民党が野党時代の12年に決めた憲法改正草案は、侵略戦争を反省した現行憲法の前文を削除し、戦力は持たないと定めた9条2項も廃止して自衛隊を「国防軍」に変えるなど、憲法の平和原則を踏みにじったものです。基本的人権は「永久の権利」とした97条は削除し、国民の権利を「公益及び公の秩序」で制限できるようにするなど、政府を縛る憲法を逆に国民を縛るものに変えてしまいます。

 こんな危険な改正草案を「ベース」に改憲案づくりを進めようという安倍首相の発言が猛反発を受けているのに、自民党は「歴史的公式文書」だと温存してしまいました。自民党が12年の改正草案と並べて「歴史的公式文書」だとしている05年の「新憲法草案」も、全く新しい憲法を作ることがうたい文句ですが、自衛隊を「自衛軍」とするなど、危険な中身であることに変わりありません。憲法の平和的民主的原則を踏みにじり、「戦争する国」を目指す自民党の執念は重大であり、危険な9条改憲は阻止するしかありません。

改憲を望んでいない国民

 自民党が審議の再開を目指す衆参両院の憲法審査会は、改憲案づくりが目的です。主権者である国民が改憲を望んでおらず、憲法改正がさし迫った国政の課題となっているわけでもないのに改憲案づくりを急ぐのは本末転倒であり、民主政治を破壊するものです。

 改憲案づくりの憲法審査会は開くべきではありません。改憲推進を許すのではなく、憲法を踏みにじる政治をただし、憲法を生かしていくことこそ急務です。


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