2016年10月19日(水)
きょうの潮流
「クロマニョン人が決めたことに我々が責任を取れるのか」「政府は10万年間、みずからの責任を決めることができるのか。法的責任の限度を超えた時間ではないか」。日本学術会議の「原子力発電の将来検討分科会」で、こんな意見が交わされています▼議題はいわゆる「核のゴミ」。原発の使用済み核燃料の再処理で発生する、「死の灰」を大量に含む高レベル放射性廃棄物です。この処分をどうするのか。万年単位、10万年単位の「超」長期にわたって放射性物質による汚染可能性への対処が必要だといいます▼問題を考える時間スケールは私たちの想像をはるかに超えます。分科会では「日本国があるかどうかもわからない。余(あま)りにも荒唐無稽な話で、まじめに取り上げにくい」「万年、10万年は、国とか言語とか文明の変化を超えて、種(しゅ)が変わり得る年限。地球全体に対する将来の責任を思う」とも▼核のゴミの処分方法は見通しが立っていません。核のゴミを発生させる原発再稼働に前のめりの電力会社と安倍政権は、どこまで責任を負うつもりがあるのか。国民になんら示されていません▼再稼働すれば核のゴミは増え続けるのに、問題を先送りしたままです。再稼働に反対する国民の根深い不安は、原発を動かす危険だけでなく、原発で生まれる核のゴミをどうするのかということにも▼新潟県知事選は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働は認めないという県民の強い意思を示しました。将来世代への負担を少なくするのは、現世代の責務です。