2016年10月18日(火)
新潟知事選 米山さん勝利
政権与党 衝撃走る
「負け自体が想定外」「県民から審判」「野党共闘が勢いづくのが一番怖い」
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東京電力柏崎刈羽原発の再稼働が大争点となった16日投票の新潟県知事選で、市民と野党の統一候補・米山隆一氏が自公推薦候補を打ち破って当選を果たしたことに、自民党内に大きな衝撃が走っています。その危機感は、今後の野党共闘に向けられています。(中祖寅一)
「負けること自体を当初は想定していなかった。これほど大差の敗北も想定外だ。完敗だ」
ある自民党関係者は選挙結果に厳しい表情を浮かべました。「原発問題は『第二の沖縄』だ。基地と原発を抱えた地域でのたたかいは厳しくなる。われわれは原発だけが争点ではないといってきたが、有権者はこれを争点として決着をつけた」
自民党衆院議員の一人は「県政の問題だ。国政に影響はない」と述べますが、一方で自民党新潟県議の一人は「(原発再稼働は)安倍政権の基本政策だ。われわれはやめてくれといったのに、選挙が厳しくなると中央から幹部を送り込んできた。政権と県民の対決という構図になり、審判を受けた」と今回の敗北を重く受け止めています。
新潟では7月の参院選に続き今回の知事選で政権・与党が2連敗。九州電力の川内原発の再稼働が争点となった7月の鹿児島県知事選挙でも、再稼働反対派の候補が勝ちました。安倍政権の原発再稼働路線が大きくつまずきました。
選挙中、自民党内から「党はバラバラ」という声が漏れ、保守派にも再稼働反対の声は深く広がっていました。従業員数百人の先端技術産業の経営者の一人は「新潟で勝って、再稼働そのものを止める」と述べました。
自民党内からは「野党共闘が勢いづくのが一番怖い」という声が出ています。ある閣僚経験者は「野党共闘がいっそう強くなっている。共産党を中心に強力だった。衆院選挙に向けて、どのような選挙構図になっていくか注視する」と述べます。新潟県連関係者は「組織力・機動力の担い手は共産党だ」と共産党の存在に注目します。「産経」も「次期衆院選へ共闘加速 共産存在感」と報じています。
衆院の解散戦略をめぐり自民党関係者の一人は「新潟で勝ち衆院補選で勝って解散へ、というシナリオは崩れた」と述べます。他方、「早期解散が強まる可能性もある。民進党の人気が上がらず、共闘の体制が整う前に仕掛けるという考え方だ」(閣僚経験者)との見方も示します。
自主投票だった民進党の幹部は「共闘で与党に打撃を与えたことは大きい。共闘を深めていきたい」と述べます。共闘支持の民進党関係者からは「共闘の力が示された」「新潟の例でも、共闘は積み重ねが大事。その中で力は強まっていく」と語りました。