2016年10月15日(土)
きょうの潮流
あのとき、開票率は99%でした。先の参院選で大接戦の新潟選挙区を制した野党統一候補の森裕子さん。当確後に発した第一声は「民主主義は生きてました」▼相手は自民現職で安倍政権の最重点区。首相みずから3度も新潟入り。菅官房長官にいたっては日本人を含むダッカ人質事件の最中に応援に駆け付け、批判を浴びました。最終的に2千票余りの勝利。森さんは野党と市民の大同団結が大きな力を発揮したと▼あす投票の新潟県知事選もたたかいの構図は同じです。安倍自公、財界丸抱えの候補と県民共同の米山隆一候補との大激戦。相手陣営は「県庁に赤旗」といった使い古しの反共攻撃で分断を狙いますが、そこは試され済み。共同の反撃で逆に追いつめたい▼最大の争点は柏崎刈羽原発の再稼働。福島の例を引かずとも、ここは中越沖地震の際に甚大な被害を受け、恐ろしい状況に。しかも世界一の出力で原発が集中しています▼直近の地元紙の世論調査では再稼働に反対が6割超と、賛成の24%を大きく上回っています。国や東電への不信、生活の不安が高まるなか、市民団体が両候補に原発にかかわる公開質問状を送りました。一つ一つに説明までつけて答えた米山候補に対し、相手は木で鼻をくくったような回答でした▼230万県民が新知事に望む対策は医療や介護、景気や子育て、TPPと多様です。それはアベ政治への不満の表れでもあるでしょう。野党と市民の共同で新しい民主主義が生まれた新潟。その力をふたたび。