2016年10月14日(金)
論戦ハイライト
財投でJR東海に利益供与
参院予算委 辰巳氏が追及
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日本共産党の辰巳孝太郎議員は13日の参院予算委員会で、リニア新幹線に対するずさんな財政投融資(財投)による公的資金の投入計画を追及し、国の認可撤回を求めました。
リニア新幹線への財政投融資は、JR東海に対し、2016、17両年度に1・5兆円ずつ、計3兆円を超低金利で融資し、30年後から年3000億円ずつ10年で返済するというもの。政府は、同社の金利負担軽減で、大阪への延伸工事着工が最大8年間前倒しできると説明しています。
明らかな支援
辰巳 国は資金援助せず、JR東海が全額自己資金で貫徹するから認可された事業だ。財政投融資は明らかな支援ではないか。
石井啓一国交相 貸し付けた資金は利払いされ、元本も全額償還される。全額自己負担の前提は変わらない。
辰巳 金利が上昇すれば、国がもらう利息より(財投調達に)支払う利息が多くなり、国民負担になる恐れがある。JR東海への利益供与ではないか。
辰巳氏は、公的資金3兆円の「償還の確実性」を財務省は検証したのかと追及。麻生太郎財務相は「国交省が妥当だと判断した」と述べ、財務省としては検証していないことを認めました。
麻生氏は、JR東海の経常利益が年4900億円あることを理由に「赤字のリニアを抱えても、十分返還されるだけのものが確保されている」とも述べ、リニア事業を「赤字」と認めました。
辰巳氏は、JR東海の建設費試算について「本当に名古屋まで5・5兆円、大阪まで9兆円で済むのか。リニア新幹線の積算額が妥当なものか、政府が確認する必要がある」と迫りました。
辰巳氏は、11年に決定した整備計画と14年に認可された工事実施計画を比べ「工事費の算出額がほとんど変わらない」と指摘。11年の計画は、08年のデータをもとに建設費用を算出していることを示し「08年から16年に設計労務単価が33%上昇している。14年の認可時に、08年のデータをもとにしていたとすれば、これほどずさんな計算はない」と批判しました。
前提が崩れた
辰巳 試算された建設費用が正しいか確認するため、JR東海の最近の工事契約額を明らかにすべきだ。
石井 民間企業の工事なので公表していない。
辰巳 これでは、「償還の確実性」の検証もなく融資を決定したも同然だ。
財投は、かつて不要不急の大型開発に使われ、国民からの批判もあり縮小された経緯があります。辰巳氏は、1997年に資金運用審議会懇談会が「(今後は)景気対策などのために安易に利用されることがあってはなら(ない)」との報告書をまとめたことを紹介。ところが、自民党が7月の参院選で「経済再生」の項目で「今後5年で30兆円」の財投と掲げたことに触れ「まったく反省がない」と批判しました。
辰巳氏は▽リニア建設はJR東海の自己負担という事業認可の大前提が崩れた▽建設費用、「償還の確実性」についてまともな検証がない▽無秩序に財投を投入しようとする安倍政権の姿勢が露呈した―として、リニア建設の認可取り消しと、建設工事中止を求めました。