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2016年10月13日(木)

きょうの潮流

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 ポーランドという国名は平原を意味する「ポーレ」に由来しているといいます。中欧に位置する平原の国は、他国からの侵略によって何度も割かれ、地図から消されてきました▼大波にさらされ、過去を奪われてきた祖国の苦難の歴史。そのなかにあってポーランド人としてどのようにあるべきか。世界に衝撃を与えた数々の作品からそれを問いかけたのがアンジェイ・ワイダ監督でした▼第2次世界大戦でナチス・ドイツとソ連による侵攻の犠牲となった若者たちへの鎮魂歌とされる「地下水道」や「灰とダイヤモンド」。戦後のソ連支配による国家体制の欺瞞(ぎまん)を告発した「大理石の男」。労働闘争の悲劇と勝利を描いた「鉄の男」…▼80歳のときにとりくんだ「カティンの森」は大戦下で起きたポーランド将校の虐殺事件を題材にしたもの。これは当時、ドイツがやったと主張したソ連・スターリンの犯行でした。じつは彼の父親も犠牲者の1人です▼抑圧されたなかで自由を求めてもがく人間の心の動き。画面から伝わるポーランドの現実を映し出した張り詰めた空気は20世紀の世界が吸った空気でもあるでしょう▼日本の精神文化に大きな影響を受けたというワイダ監督。彼の作品を紹介した岩波ホールの故高野悦子さんとの対談で私たちの社会にこんなことを。「ほんとうの意味での日本の産業、文化をおもうのであれば、もっと日本の過去に戻ってみるべきではないでしょうか」。現代から過去を見つめ、未来を照らした名匠の提言です。


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