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2016年10月9日(日)

主張

原発と国民生活

危険も負担も耐え難いものだ

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 2011年3月の東日本大震災から11日で5年7カ月―。地震と津波で大事故を起こした東京電力福島第1原発の収束のめども立たない中で、全国の原発での再稼働の動きが続き、安倍晋三政権はついに運転開始から40年以上たった老朽原発まで再稼働させようとしています。しかも事故処理に巨額の費用がかかるからと、東電への新たな支援や原発の廃炉の費用を国民に押し付ける検討も始めています。原発事故の教訓をくみ取ろうともせず、「原発ゼロ」の願いにも背を向けた一連の動きは、国民の安全にとっても負担の上からも認められるものではありません。

老朽原発も、東電支援も

 東電福島原発事故の後、全国の原発が次々停止し、「原発稼働ゼロ」でも電力が賄えていたのに、安倍政権は原発を「基幹的なベースロード電源」とする立場から、原子力規制委が基準に「適合」と判断した原発は再稼働させると、再稼働を推進してきました。これまでに関西電力高浜原発3、4号機、九州電力川内原発1、2号機、四国電力伊方原発3号機を再稼働させましたが、高浜原発は裁判所の判断で運転を停止、川内原発も九州で地震が相次ぎ、新たに鹿児島県知事に当選した三反園訓知事から停止を求められています(1号機は6日に定期点検で停止)。

 しかも、これらの原発の再稼働だけでは目標に達しないというので、安倍政権が始めたのが老朽原発の再稼働です。原則として原発は運転開始から40年で廃止することになっており、政府は40年を超えた老朽炉の再稼働は「極めて例外」と言い続けてきました。ところが原子力規制委は4月に関西電力高浜原発1、2号機を「適合」としたのに続いて、5日には美浜原発3号機についても事実上「適合」と認めました。いずれも巨額の資金を費やす老朽化の対策工事などが必要で、実際に再稼働するのは数年先ですが、法律で定められた「40年廃炉」のルールが形骸化されたのは明らかです。

 老朽化した原発は炉心などの事故が起きやすく、事故が起きた場合の影響も大きいといわれるのに、原子炉やケーブルなどの老朽化対策は間に合わせです。地震などへの対策の不十分さが規制委の関係者や地震学会からも指摘されており、老朽原発の相次ぐ再稼働は、住民や原発で働く労働者の安全と生命を文字通り脅かすものです。

 見過ごせないのは原発再稼働の動きと歩調を合わせて、事故を起こした東電の除染や賠償、廃炉などの費用を支援する動きや、大手電力会社の原発廃炉の費用を原発に依存しない「新電力」の利用者にも負担させる動き、原発事故の際の電力会社の賠償に上限を設ける動きなどがいっせいに始まっていることです。いずれも電力会社の責任をあいまいにし、国民が望まない再稼働のため国民に負担を押し付けるものです。原発推進のための動きとして警戒が必要です。

原発推進政治の転換こそ

 安倍首相は国会で福島原発の汚染水問題を追及され「コントロールされている」との発言を繰り返すなど、原発事故への反省がありません。首相の安全軽視、電力会社言いなりの姿勢は重大です。

 安倍政権の原発依存・推進姿勢を厳しく追及して原発再稼働の企てをやめさせ、「原発ゼロ」に踏み出させることが重要です。


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