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2016年10月5日(水)

主張

南スーダンPKO

内戦は深刻化、自衛隊は撤退を

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 安倍晋三政権は南スーダンPKO(国連平和維持活動)に11月派遣予定の自衛隊部隊に対し、戦争法(安保法制)に基づき「駆け付け警護」と「宿営地共同防護」という新任務の実動訓練を始めています。内戦状態の南スーダンでは「PKO参加5原則」が崩壊し、新任務を実際に付与すれば、政府軍や反政府武装勢力との戦闘が想定され、自衛隊員の命が奪われる危険が一層高まることが国会論戦で明らかになっています。自衛隊創設以来、一人の戦死者も出さず、一人の外国人も殺さなかった戦後史に重大な汚点を残してはなりません。

新任務の危険さらに明白

 日本共産党の笠井亮議員は衆院予算委員会で、南スーダンの自衛隊の活動などについて陸自研究本部が陸自トップの幕僚長に提出した報告書を示しました。南スーダンの首都ジュバで2013年末に大統領派と前副大統領派の武力衝突が発生した際、現地に派遣されていた部隊の活動を踏まえ、今後の教訓などを示しています。

 報告書は、当時の武力衝突によって「南スーダン情勢が混沌(こんとん)とした状態となり、従来の(自衛隊部隊による)施設活動への復帰の見通しが全く立たない中」で、部隊長が「平成26(2014)年1月8日、『緊急撤収計画』を決裁した」ことを明らかにしています。それほど事態は緊迫していました。

 ジュバにある自衛隊宿営地周辺の情勢も悪化し、全隊員が防弾チョッキや鉄帽の着用、武器・弾薬を携行しました。しかし、隊員の中には「至近距離射撃未経験者が存在」したため、今後は「全隊員による個人携行火器の実弾射撃(至近距離射撃)」訓練の必要を強調しています。「至近距離射撃」は市街地などでの近接戦闘に使われ、至近距離で遭遇した相手が敵なのか民間人なのか、撃つべきかどうかなど瞬時の判断が求められます。さらに、「拳銃・小銃射撃訓練」に加え、「車上射撃」や「夜間射撃」、車両などを利用した「遮蔽(しゃへい)射撃」など「当該射撃が必要となる可能性は否定できない」とし、詳しい訓練内容が提案されています。

 当時、戦争法はなく、武器の使用は基本的に自衛隊員の生命・身体の防護のために限られていました。戦争法に基づき、離れた場所で襲撃された他国軍兵士などを救助するため武器の使用が認められる「駆け付け警護」や、他国軍部隊とともに実施する「宿営地共同防護」の任務が新たに付与されればどうなるのか―。派遣部隊が政府軍や反政府武装勢力と戦闘し、自衛隊員の命に危害が及んだり、敵対する兵士ばかりでなく、避難民など民間人を誤って撃ったりする危険はますます大きくなります。

非軍事の支援への転換を

 南スーダン情勢は当時よりも深刻です。今年7月にはジュバで大統領派と副大統領派(当時)の戦闘が激化し、内戦状態は悪化しています。自衛隊宿営地の隣でも2日間にわたり銃撃戦がありました。国連安全保障理事会は8月、南スーダンPKOに事実上の先制攻撃を可能にする権限を与えました。前副大統領は、「武力抵抗」を宣言しています。自衛隊派遣の前提となる停戦合意など「PKO参加5原則」の崩壊は明白です。

 自衛隊の南スーダンからの撤退、憲法9条に基づく非軍事の人道支援、民生支援の抜本的強化への転換が何より求められます。


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