2016年10月2日(日)
現役米兵の55% 軍事介入に反対
「外国の問題から手を引き、自国に集中を」(26歳・軍曹)
米軍事紙調査
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【ワシントン=洞口昇幸】米軍事専門紙ミリタリー・タイムズが2207人の現役米兵に実施した聞き取り調査で、米国の軍事力行使や資金援助によって中東や北アフリカ地域の“民主化・国づくり”に介入していることに、米兵の55%が反対と考えていることが明らかになりました。調査は、9月8〜15日に行われました。
同紙電子版によると、米政府の介入政策について、強く反対・やや反対の合計が55%、賛成の合計は23%、わからない・意見なしの合計が22%となりました。
平均29歳の米兵が答えた同調査の結果では、米国外での従来の軍事的任務や外国の反乱勢力の鎮圧などに参加する「安定化作戦」、イスラエルなどへの対外援助を、「少なくすべきだ」の割合が、「増やすべきだ」を上回りました。米本土防衛やテロ対策の活動を増やすべきとの意見は6割を超えました。(表参照)
同紙は、ブッシュ前米政権からオバマ現政権まで続く「テロとのたたかい」、特にアフガニスタンやイラクでの政策について、「多くの米軍人が困惑を強めている」と分析。その理由として2001年のアフガン侵攻から15年間で戦費がかさみ、多数の米兵が命を落としていることをあげています。
「外国の問題から手を引き、われわれの国のことに集中する必要がある。クリーン・再生可能エネルギーの分野で雇用をつくる必要がある」との26歳の米空軍の軍曹の意見を紹介しています。
退役軍人問題等の研究者で元米陸軍人のフィリップ・カーター氏は、「この15年間の戦争に従軍した者で、銃で民主主義を打ち立てられることが可能だと考えているのは、ごくわずかだ」と同紙に語りました。