2016年9月30日(金)
主張
共産党の代表質問
暴走と正面対決、対案を示した
参院選後初めての国会論戦になる、安倍晋三首相の所信表明演説への各党代表質問が衆参両院で行われました。都合の悪いことを国民に語らず暴走を加速する安倍政権―。日本共産党の志位和夫委員長(衆院)と市田忠義副委員長(参院)の代表質問は、危険な暴走政治と対決し、国民の願いに沿った対案を具体的に提起しました。首相はまともに答えず開き直りに終始するばかりで全く無反省です。民意に逆らう安倍政権の暴走を阻み、政治の転換を求める共同を広げることがいよいよ重要です。
深刻な危険を隠したまま
国民に語らずに進める安倍政権の暴走の最たるものは、昨年9月に強行した戦争法の全面的運用の企てです。政府は、南スーダンのPKO(国連平和維持活動)に派遣する自衛隊部隊に「駆け付け警護」や「宿営地共同防護」の新任務を付与することを想定した訓練を開始しました。しかし所信表明では戦争法運用に一言も触れませんでした。世論を無視して戦争法を強行させ、国民不在で運用をすすめる言語道断の姿勢です。
南スーダン情勢は極めて深刻です。首都で民間人多数が死亡する大規模な戦闘が発生し、自衛隊派遣の前提となる停戦合意などは総崩れです。志位氏が具体的な事実を突き付け、新任務を与えた自衛隊を南スーダンに派遣すれば「殺し、殺される」初ケースとなると強調し、戦争法発動中止と自衛隊撤退を迫ったのに対し、首相は「現地情勢は落ち着いている」などと言い張るばかりです。国民の危険を顧みない無責任な態度です。
首相は、問題が噴出する環太平洋連携協定(TPP)について政府の試算を見直そうともせず、改憲問題でも自民党案をベースにする構えを崩しません。暴走ストップのたたかいは文字通り急務です。
安倍政権発足から3年9カ月、国民の消費はすっかり冷え込み、大企業がもうかれば国民の暮らしに回るという「アベノミクス」の破綻はいよいよ明白です。志位氏が提起した「三つのチェンジ」(税の集め方と使い方の改革、働き方改革)は、日本経済と暮らしの危機を打開する道理ある対案です。
暮らしを直撃する消費税頼みをやめ、大企業優遇の不公平をただし負担能力に応じた税制に改めれば、暮らしを支える財源が確保できます。税金を社会保障、若者、子育てに優先して使えば、社会保障の切り捨てから拡充に転換が可能になり、返済不要の給付奨学金の本格的な創設などに道が開けます。長時間労働をやめるというなら、残業時間の上限を法律で規制すべきです。財界のもうけのために働く者を犠牲にするニセ「改革」でなく、労働者の命、健康、権利を守る本物の改革こそ急がれます。
志位氏の具体的提案について首相はまともに受け止める姿勢を示しません。どちらが日本の未来に責任を持つか。違いは明白です。
市民と野党の共闘を強め
臨時国会は、戦後初めて野党と市民が全国規模で選挙協力を行った参院選結果を受けた論戦の場です。市田氏は、安倍政権の暴走が続く限り、国民のたたかいのうねりは大きくなると指摘しました。
戦争法強行、暮らし破壊、改憲などあらゆる分野で暴走を続ける安倍政権と対決し、新しい政治を開くため国会内外での共闘を強め、発展させようではありませんか。