2016年9月29日(木)
相模原事件を考える 障害者ら300人集う
今の社会に温床が共生へ次の一歩を
相模原市で起きた障害者殺傷事件から2カ月が過ぎ、事件とその背景にある問題を深め合おうと、障害のある人ら300人余りが28日、国会内で討論集会を開きました。12人の障害のある人、家族、関係者が発言しました。主催は、日本障害者協議会(JD・藤井克徳代表)。
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国会内で討論集会
集会の冒頭、亡くなった19人に思いを寄せ、黙とうしました。
藤井代表は、同事件の容疑者が障害者を不要とする優生思想的な考え方があったことにふれ、「こうした考え方は、生産性や効率性が求められる今の社会の側に温床、遠因があったのではないか」と指摘。国連・障害者権利条約8条が障害者に対する偏見や有害な慣行とたたかうことを規定しているとして「自分の中に潜む差別意識とたたかうことが必要だ」と強調しました。
肢体障害のあるJD理事の太田修平さんは、延命治療を施さない選択ができる「尊厳死法案」をめぐる国会の動きや出生前診断にふれ、「『障害がない方がいい』と思うのは容疑者だけだろうか」と問いかけました。
神奈川県手をつなぐ育成会の依田雍子(ちかこ)会長は「共生社会に向けて次の一歩を踏み出さなければ」と述べました。
全国精神保健福祉会連合会の小幡恭弘事務局長は、容疑者の措置入院歴によって偏見が助長されることなく精神障害のある人が市民として扱われる社会を求めました。
さいたま市内で作業所やグループホームを運営する鴻沼福祉会の斎藤なを子常務理事は、現行の障害福祉制度の成果主義に基づく報酬の仕組みが障害者を軽んじることにつながると指摘。障害者の尊厳を守る視点での制度拡充の必要性を訴えました。
薗部英夫副代表は閉会あいさつで、「社会が“いらない人”をつくり殺したら、次は別の“いらない人”が殺されてしまうだろう。すべての人が安心して生きられる社会のあり方を考えよう」と呼びかけました。
日本共産党の田村智子副委員長・参院議員と畑野君枝衆院議員が参加、田村氏があいさつ。民進党国会議員も参加しました。